14_思ったより深刻かもしれない ページ17
弦月視点
僕は今、晴くんの研究室へ向かっている。
というのも、晴くんがAちゃんの件について話したいというからだ。
晴くんにあの子を預けられた時は驚いた。
人型の魔を初めてこの目で見たからだ。噂には聞いていたが、この仕事をしている人でも、見た事がある人なんて少ないんじゃないか？
混血だったけど、混血でも珍しさというのは段違いだ。とても興味が湧いた。
でも、本当に晴くんはAちゃんに肩入れしているみたいだ。し過ぎなくらいに。
晴くんはいつも、他の研究の論文やレポートの提出などで忙しく、特に期限当日なんてゾンビのような顔をしている。
他の研究そっちのけにするなんて…''研究者魂'''ってやつかな。
僕は別に、晴くん程の熱意はないけど…。
と考えている間に研究室の前についた。僕は扉を開ける。
「お〜、藤士郎！遅かったなぁ！」
「ごめん、弦月。来てもらっちゃって。」
軽い態度の景くんと対照的に、晴くんは深刻そうな顔をしている。
その手には資料が握られていて、今日の話とは多分、それに関する事だろう。
『こっちこそごめん、ちょっと遅くなっちゃった。それで、話って？』
僕は晴くんに言いながら、景くんが座っていたベッドに同じように座った。晴くんは自分の椅子に座っている。
少し考えた後、晴くんは口を開いた。
「…実はAちゃんの体、思ったより深刻かもしれないんだ。」
…深刻？
晴くんの話によるとこうだ。
今日の昼の血液検査の結果が出たが、魔の血の数値が人間の血の数値を上回っていた。一昨日は人間の方が濃かったのに、明らかに変化するスピードが速すぎる。もしかしたらAちゃんは、その内、魔に飲み込まれてしまうかもしれない。
…つまり、あの子は“今”が混血なだけで、段々魔に近づいているという事だ。
一通り話し終えた後、晴くんはどうしよう…と頭を抱えてしまった。
『まだあまり飲み込めてないんだけどさ、具体的な根拠とかはあるの？』
僕は聞いた。正直、血の濃度の割合が変化しているだけでは、根拠として弱い気がする。
「根拠という根拠はまだ無いんだけど…。最近見ていて、耳と尻尾がちょっと大きくなっている様な気もするし…。それによく眠るし。長尾もさ、昨日部屋に行ってなんか感じなかった？」
話を振られると思っていなかったのであろう景くんは、少し驚いた顔をして、考える仕草をした。
「確かに、ちょっと前より強くなってた気がするなぁ〜」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 309人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
景色＿Δ(プロフ) - 仁乃さん» そうなんですか！？ありがたいです...様々なことが重なり、完結とさせていただきました！最後まで読んでくれるんですね！？ありがとうございます...！！！ (2021年6月2日 22時) (
レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
仁乃(プロフ) - 景色＿Δさん» あ、私もあなたの作品を一度読んだ事がありました！主人公の語り方が面白く、思わず見入ってしまっていたのを覚えています。完結していたんですね。今から最後まで読ませて頂きます！ (2021年6月2日 22時) (レス) id: f8c4049ddb (このIDを非表示/違反報告)
仁乃(プロフ) - 景色＿Δさん» コメントありがとうございます！喜んで頂けて嬉しいです。頑張ります！ (2021年6月2日 22時) (レス) id: f8c4049ddb (このIDを非表示/違反報告)
景色＿Δ(プロフ) - うわああああ！！！素敵な小説発見！！感謝ですー！！！更新頑張ってください！！応援してます！！！ (2021年6月2日 19時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：仁乃 | 作成日時：2021年5月30日 18時
