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11_暖かい人達 ページ14

A視点

目を開けると、昨日と同じコンクリートで出来た天井が目に入り、昨日の出来事を思い出した。
瞼が重く、腫れているみたいだった。

昨日あんなに泣いたからなあ…。


『い、いてて…』


起き上がろうとしたが、体のあちこちが痛くてたまらなかった。全身が筋肉痛にでもなったような気分で、上半身を起こすのも一苦労だった。
鎖に繋がれていた部分が赤くなっているのを見て、その理由を察した。

きっと、昨日の夜も魔になったんだ____。

どうしようもない気持ちが込み上げてきて、また目頭が熱くなる。
でももう絶対に泣かない。
信じるって、救えるくらい強くなるって、決めたんだから。


『よし!』


目をこすって頬を二回叩き、気合いを入れた。
その時、ガチャリとドアが開いた。


「おはよう。」


「おはよう!Aちゃん。」


入ってきたのは藤士郎さんと晴さんだった。
藤士郎さんは今日の朝食を乗せたトレイを、昨日と同じ机に置いた。


『おはようございます…。あの、保冷剤ってありませんか?』


私は2人に聞いた。目が腫れて少し痛いので冷やしておいた方がいいと思ったのだ。
2人は私の目を見だ瞬間、驚いた顔をした。


「そっか、昨日泣いたから…!ごめん!そこまで気を遣えなくて…。弦月、冷凍庫から持ってきて!ちっちゃいタオルと輪ゴムも!」


「分かってるー!」


晴さんは相当申し訳無さそうな顔をして、弦月さんに指示した。弦月さんは返事をしながら、部屋を飛び出して行ってしまった。
そんなに急がなくていいのに、あったかいなあ。

しみじみとしていると、息を切らした弦月さんが戻ってきた。


「…ハァッ…こ…これ…ハァッ…」


弦月さんは頼まれた物を晴さんに手渡すなり、直ぐに床に倒れ込んでしまった。
それを受け取った晴さんは、手際よく保冷剤にタオルを巻き、輪ゴムで固定して私の目に当てた。


「大丈夫?これ、持ってていいから。ぬるくなってきたらまた言ってね?」


保冷剤に手を置く。冷た過ぎず、ぬる過ぎず気持ちがいい。
私は2人の余りの慌てっぷりに思わず笑ってしまった。


『…ふふ、はい!ありがとうございます!』


それに合わせて、2人も笑い出した。
部屋に和やかな雰囲気が流れた。

暫くして、晴さんが話を切り出した。


「それで…とりあえず今日やる事なんだけど…。あ、その前に紹介したい人がいるんだよね〜」


晴さんはそう言いながら部屋を出た。

紹介したい人?
私は首を傾げた。

12_紹介したい人→←10_認められない。



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景色_Δ(プロフ) - 仁乃さん» そうなんですか!?ありがたいです...様々なことが重なり、完結とさせていただきました!最後まで読んでくれるんですね!?ありがとうございます...!!! (2021年6月2日 22時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
仁乃(プロフ) - 景色_Δさん» あ、私もあなたの作品を一度読んだ事がありました!主人公の語り方が面白く、思わず見入ってしまっていたのを覚えています。完結していたんですね。今から最後まで読ませて頂きます! (2021年6月2日 22時) (レス) id: f8c4049ddb (このIDを非表示/違反報告)
仁乃(プロフ) - 景色_Δさん» コメントありがとうございます!喜んで頂けて嬉しいです。頑張ります! (2021年6月2日 22時) (レス) id: f8c4049ddb (このIDを非表示/違反報告)
景色_Δ(プロフ) - うわああああ!!!素敵な小説発見!!感謝ですー!!!更新頑張ってください!!応援してます!!! (2021年6月2日 19時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仁乃 | 作成日時:2021年5月30日 18時

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