HONEY LOVE ７

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「え……、会ったことありましたっけ……？」




なんとか頭をフル回転させて考えてみるけど
全然思い出せない。

むしろこんな人と会ってたらそうそう忘れる気はしないんだけど。




「三年前くらいかな、会社の先輩の送別会飲みしてる時たまたま会って合流したんだよ。
そっちは土屋さんとか含め五人くらいいたかな？こっちは会社飲みだったからかなり人数いたし、俺の事なんて覚えてなくて当然かもしんないけど」

「三年前……」




そういえば、そんなこともあったかも。

土屋ちゃんが彼と付き合って少しした頃に
たまたまお店で一緒になって合流したことがあったような。





「その時にちょっと気になったんだけど、俺彼女いたしなんもアクションは起こせなくて」

「その時に気になった……？私のことを……？！」

「そんな驚くとこじゃないでしょ」

「いやいや、だってあの時のメンバーは確か後輩ちゃん達だけだったし……」




土屋ちゃんは彼がいたにしても、他の子達はフリーな子もいたし可愛いし若いし。




「飲み会の最後、ちょっと話したのも覚えてない？」

「……最後？」



お酒も入ってたし慣れない場所で緊張もしてたから
記憶がいまいち曖昧で分からない。

考え込む私から離れると
おもむろにそばに置いてあったブーケトスの花束を手に私に差し出してくる。




「これ、君にあげる」




目尻の皺が優しいその笑顔と
少し鼻にかかった声。

花の匂いも相まって、記憶が一気に蘇った。




「あ！あの時の……！」

「ふふ、やっと思い出したか」




飲み会が解散になって席を立つ時に
たまたま私が最後の方だったこともあり、席に忘れられてた花束を見つけたんだよね。

きっと送別会をされてた人のものだろうと
その花束を抱えて走ったら、一人の男の人が気付いてくれて
それが北山さんだったんだ。




「結局その先輩帰っちゃってたから、その花Aちゃんにあげたじゃん？
最初こそ遠慮してたけど、最後には貰ってくれることになって
その花を抱えながら、ありがとうございますって言ってくれた笑顔が忘れらんなくて」

「そ……そんなこと……」

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