HONEY LOVE ７

北ニカ ページ12

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「高嗣、携帯鳴ってるよ〜」

「おー……おう」




夜ご飯を食べて、ソファで二人で映画を見て
高嗣が焼酎をキッチンに作りに立ったら、テーブルの上に置いてた携帯が鳴った。

画面を下にしているから見えないけど
焼酎を作り途中にしてまでも携帯を取りに戻ってきて、私に見えないように確認してる。




「……この映画、いまいちだね」

「うーん、そう？」




なぜだかちっとも面白く感じない映画に目を向けながら
ポケットに携帯をしまう高嗣が視界の端に写った。





「あっ！そうだ！私友達と今日約束してたんだった」

「え？今日？」

「そう、友達と飲み会約束してたのすっかり忘れてた！」

「まじか、早く行きなよっ」

「うん、ごめんね高嗣」

「しょうがねぇし、また今度続き見よ」

「……うん」





高嗣に見送られながら部屋を後にしたけど
約束があるなんて嘘。


"誰からのメール？"とか
"最近着信多いね？"とか
聞きたいことが何一つ聞けないのが苦しくて、逃げ出してきてしまった。

だってきっと高嗣は浮気してる。

決定的な証拠を掴んでるわけではないけど
……ていうか、決定的な証拠を掴むのが怖いのかも。






しばらく道なりにそんなことを考えながら歩いていると
カバンに入れてた携帯が震えたのを感じて、急いでカバンから取り出した。

もしかしたら、もしかしたら高嗣かもって思ったのに





「……宏光、」




画面には宏光の文字。
とりあえず通話ボタンをタッチした。





「あ、A？今なんしてんの？」

「特に何もしてないけど……」

「二力と一緒？」

「……ううん」

「なんだよ〜美味い肉貰ったから一緒食おうと思ったのに」




だったら高嗣に直接連絡したら？とか思ったけど
何も言わず無言な私に宏光は




「じゃあAだけでも来る？」

「え？」

「肉、めちゃくちゃあるし」




安易に私を家に誘ってくる。

どうせ行くあてもないし、自分の家に帰ったってマイナスなことばかり考えながら寝落ちるだけだ。




「……行こうかな」

「うし、じゃあいつものコンビニあたりまで来て。迎え行くから」




彼氏の高嗣に嘘をついて出てきたくせに
他の男に誘われて家に行くなんて、ちょっとした私なりの高嗣への反抗だったんだと思う。

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