はちみつ色の日々 ３

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「Aー行くよぉ」

「はーい、今行く」



次の日の3時間目。
調理実習のための移動教室で友達の夏菜子に呼ばれて
急いで教室を出た。

すると



「あ、」



と声が聞こえて、思わずその声の方に視線を向けたら
ちょうど隣の教室から出てきた男の人。




「あ……っ！」




昨日の……！！




「こんにちはー」

「こ、こんにちは……？」



そんな急に挨拶するほど仲良くなったつもりもないけど
とりあえず戸惑いつつも挨拶を返してみる。



「移動教室？」

「え、う、うん」

「そかそか」



戸惑ってる私なんてなんのそので
じゃあねーって緩く言うと
友達らしき人と共に去っていってしまった。


……なんなの、あの人。



「A！玉森くんと仲良かったの？！」

「たまもり……あーそうだ、そんな名前だったね！」

「はぁ？！」



興奮気味に肩を掴まれながら夏菜子に詰められて
ようやく思い出した。

モテると噂の玉森くんだ。



「いや、昨日部室に鍵届けに来てくれたんだけど
名前が思い出せなくって」

「玉森くんの名前思い出せないとか信じらんない。
ていうか、鍵届けてくれただけ？」

「え……うん」



さすがに、北山先生に好きって呟いてたのを聞かれたなんて
いくら友達でも言えない。



「いーなー、そういうきっかけがあれば玉森くんに話しかけてもらえるんだー！
ん？でも玉森くんってあんまり女の子に話しかけてるイメージないんだけどな」

「ほらっ、それより早く行かなきゃ遅れるよっ」




これ以上話を膨らませるのも厄介だと思って
夏菜子の背中を押して移動教室へと足を早めた。


早速昨日の今日で会ってしまったものの
関わらなければ変にいじられることもないだろうし
きっと大丈夫……だと自分に言い聞かせるしか出来なかった。

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