はちみつ色の日々 ３

＊ ページ27

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「めちゃくちゃ腕熱くね？」

「お酒、飲んでるから……ね」




ドッドッドッ、って自分の心臓が早くなってくのが分かる。

なぜか触れてる手を離してくれなくて
ますます熱くなってくる。




「あのさ、」




耳元で宏光の声が聞こえる。



「まじでAからのチョコ貰っていい？」



「え……？」



チョコ……？

カバンにチラッと目を移してからまた私に視線を戻して
あれ、って指さした。




「あれブラウニーっしょ？」

「えっ、なんで」



中身は言ってないはずなのに当てられてビックリする。
まさか匂いで？！いやいや、そんなはずは。



「俺が初めてAに貰ったのが手作りブラウニーでさ
美味い！って褒めたら毎年それだったもん」

「……確かにそうだったけど」

「それしか作れないんだろ」




……図星。

まぁ作ろうと思えばレシピを見て作れるんだろうけど
初めて作ったブラウニーを宏光が美味しそうに食べてくれたのが忘れられないのかもしれない。




「Aが作ったやつ、他の男に食わせたくないんだけど」




何でそんなこと言うのよ……。

戸惑ってると、腰を引き寄せられて抱きしめられた。

見た目ではあんまり分からないけど、宏光は意外にガッシリしてる懐かしいこの感触と匂い。

好きな気持ちがぶわって蘇ってきて、




「……ずるい……ずるいよ」



涙が溢れてきた。




「分かってる、これはさすがにずるいよな。ごめん」

「違う、そうじゃなくて……」



ん？って少し体を離して見つめてくれるその眼差しは優しい。



「宏光と別れてから……何人かと付き合ったけど、なんでか好きになれないの……。
会いたいとか、触れたい触れられたいとか……何も感じなくて……」



だからバレンタインっていう特別な日にドタキャンされたって、なんの感情もなかった。



「だから……ずるいよ、宏光は……っ」




ここまで真面目に聞いてた宏光が急に、ふって笑い初めて思わず泣いてるのも忘れてた無意識に睨んでしまう。




「い、今笑った？！」

「うん、ふはっ、ごめん」

「私泣いてるんだけど？！」



何に笑ってるのか分かんなくてむくれると
正面からギューって抱きしめられた。
さっきよりも、優しく。

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