はちみつ色の日々 ３

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「すいませーん、生ひとつとグレフルサワーと唐揚げ」

「あいよー」




結局、来てしまった。

"別によくね？"の一言で、普通にあっけなく。




「あ、癖でグレフルサワー頼んだけど良かった？」

「うん全然、ていうか癖って何年前の話よ」

「何年前だろうと、こうやって一緒いると感覚戻んじゃん」

「……そう？」




いつも宏光と飲みに来ると
一杯目はグレフルサワーだった私。

覚えていてくれたなんて、なんだかちょっとむず痒い。




「つかめちゃくちゃ腹減った〜、今日昼食い損ねてさ」

「え、そうなの？仕事忙しい？」

「まぁそれもあるけど、女の子に呼び出されまくって」

「あぁ……」




横に乱雑に置かれた大きな紙袋がちらっと目に入る。
カラフルな包み紙が沢山入ってて、多分全部チョコ。




「懐かしくね？
毎年この量のチョコAが一人で食うから、太った太ったうるさくてさー。
だったら一人で食うなよって話なのに」

「なっ！いつの話よっ」

「俺は毎年チョコもらう度に思い出しては笑ってる」

「笑い話なの？それっ」

「うん、もうめちゃくちゃ笑い話」

「ひっどい！こっちは他の女の気持ちがこもったチョコを宏光の口に入れたくなくて必死だっ……」




ここまで言っといてしまったと思った。

とんだ重い女エピソードすぎる。




「ふはは、なにそれ」

「か、過去の話だけどねっ！」

「その気持ち嬉しいけどな〜俺は」

「え？」




向かい合わせに座ってる宏光と目が合う。

この感じ、久しぶり。

いつまでたってもドキドキしてた、この目に。




「このチョコも食ってもいいよ」

「別に今は宏光が自由に食べればいいじゃん……」

「いいの？」

「い……いでしょ」

「ふーん」



気持ちを見透かされてる気がして怖い。

そんな空気にタイミングよく
お待たせしましたー！と運ばれてきた飲み物たちにホッとした。

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