艶恋味。

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「す、すいませ…」

「どういうこと？！じゃあうちの子が悪いっていうの？！
先生という立場でどちらかの肩を持つなんてっ」




案の定、葵ちゃんママは顔を赤くしてさらに怒り出す。

慌てて立ち上がり頭を下げようとすると、





「申し訳ありません」




それを止め、私の隣に立ち深々と頭を下げた宏光さん。





「何があったかはともかく、怪我をさせたのは事実です。
もえにはよく言って聞かせますし、治療費ももちろん全額負担します。
色々と僕一人では至らないことも多いと思いますが、今後ともよろしくお願いいたします」





いつもの様子からは想像もつかないくらい真面目に誠実に頭を下げてるから
葵ちゃんママも、戸惑いながら何とかその場は収まった。







「A先生、色々と気持ちは分かるけど
先生という立場上、平等にいかなければならないからね」

「……はい、本当にすみませんでした」




皆が帰ったあと園長先生にそう言われ
自分が情けなくなった。

私がフォローしなくちゃいけないのに
逆に宏光さんにフォローされてどうすんの。

それでも気持ちを切り替えて仕事を終えての帰り道




「お礼と謝罪だけでもしとこう……」




自宅へと道とは違う道を歩き宏光さんの家へ。

もえちゃんの肩を持って話を余計にややこしくしたのは私だから
電気屋さんの横の自宅のインターフォンを押せば、すぐに宏光さんが出てきてくれた。




「え、先生？どしたの？」




目を丸くして驚いてる宏光さんの後ろから
とことこ歩いてくるもえちゃんも見えて
玄関先にも関わらず勢いよく頭を下げた。





「ごめんなさい……っ、さっき私きちんとフォロー出来なくてっ」

「ちょっと待てって、とりあえず頭上げて」

「もえちゃんも……、ごめんね？」




あの時もっと上手く話題を変えたことは出来たはず、
ううん、むしろあの場所でオムライスのことを軽率に聞かなきゃこんな事にはならなかったのに。




「先生はわるくないよっ、もえが……もえがあおいちゃんを叩いちゃったから……」

「ううん、先生もあの時止められたはずなのにごめんね」




ううん、ってパパの足にしがみついてる。

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