艶恋味。

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「まあまあ、何かあったら俺で良かったら相談してね」

「……うん」

「じゃあ今日は本当にありがとう、またね〜」





おやすみ〜、ってヒラヒラ手を振りながら隣の家に帰ってくその姿に
私も手を振り見送った。

薄暗い街灯の中、手のひらに持ってた写真をもう一度見て思ったのは玉森さんの言葉。

ポケットに突っ込んだままだった携帯を取り出して確認してみても
当たり前に着信はなくて。

着信履歴の"電気屋さん"を見て思うこの気持ちは
一体なんだろう━━。







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「あーっ、忙しいっ！！」




もうすぐうちの幼稚園ではクリスマス会。

宏光さんどうこうを考える暇もなく、こういう行事が近づくと、私たち先生は忙しくててんやわんや。
まぁお遊戯会とかに比べたらマシなんなんだけど、なんだかんだで日々に追われていた。



「A先生、ちょっとお迎え係代わってもらってもいいですか？
颯太くんの親御さんにお話があって」

「あ、うんっ。今行く」





職員室での作業の手を止めて、お迎え係担当の先生の代わりに私が玄関へと向かった。

暖房がついてても玄関先は吐く息が白くて寒い季節になったなぁ、と感じる。





「こんちは〜」

「こんにち……は、」




なんというタイミング。

ちょうどお迎えに来たのは、もえちゃんパパの宏光さん。





「もえ、お願いします」

「あ、は、はいっ」




急なことすぎて動揺しながらも
園児たちの部屋へと繋がるマイクでもえちゃんを呼んで
もえちゃんが来るまでは地獄の宏光さんとの二人きりタイム……。

どうこの時間をやり過ごそうか……、






「電話、この前出てくんなかったじゃん」

「え？」




私に少し近付いた宏光さんはコソッと耳打ちするように。

思わず距離を取ったのは、きっと本能的な防御反応。





「忙しかった？」

「あ、まぁ……はい」

「だったら折り返しくれるとかしたらいいのに、寂しいじゃん」

「……宏光さんこそ、あれっきり電話してこないじゃないですか」

「え？電話して欲しかった？」

「そ、そういうわけじゃ……っ！」



しー！って思わず大きな声になってしまった私に笑ってて。

だ、誰のせいよ……っ！！

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