艶恋味。

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「昨日、北山さんにうちに来てもらったんですよね〜。
ちょっと電気の調子悪くて」




昨日はありがとうございました、ってナチュラルに言うもんだから
周りの先生達も、そうだったんですねーって納得してる。




「その時にちょっと世間話して、北山さんの子供の幼稚園で俺がカメラマンするってのが分かって、ね？」

「あ、あぁ、うん」



同意を求められた宏光さんはぎこちないながらも話を合わせてて
それに対して玉森さんはニコニコするばかり。

この人、緩そうに見えてめちゃくちゃ鋭いのかもしれない。

きっと…いや、絶対もう私と宏光さんのことはバレてるんだと思う。
それを咄嗟にフォローしてくれて
何者なの、この人。




「てことで、改めて乾杯しましょー」

「ですね、かんぱーい」




本日二度目の乾杯は
気まずくてぎこちなくて、全然乾杯のテンションじゃないものだった。






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「最近楓がパパくさいとか言い出して、すげぇショックなんすよ〜」

「まぁそういう年頃ですもんね、女の子だし」

「あれ絶対嫁の真似してんすよね、嫁も俺の靴下とかくさいくさい言うからさ〜」





不満そうな楓ちゃんパパを励ます先生たちの話を聞きながらも
私はどうしても隣の宏光さんが気になってしまう。

さっきから笑ったりしてはいるけど自分から言葉は発さないし
とか言いつつ私も無言なんだけどさ。




「宏光んとこは？言われね？」

「あーうちは言われねぇかな、その見本となる嫁もいないし」




しーん、と少し空気がピリついた。

亡くなってしまったことは皆承知の上だけど
こう言われてしまうと、上手い返しの言葉が見つからなくて。




「あ、ごめん。
そんな空気になんなよ、そんなつもりで言ったわけじゃねぇから」




はは、って笑ってるけど私も含めみんな苦笑い。
でもそんな中一人だけ、その空気を打破すべく宏光さんに言葉をなげつけたのが




「もえちゃんパパは再婚とか考えてないんですか〜？」




酔っ払ってるあゆみ先生だった。

その質問になぜか私が動揺しちゃって
宏光さんの返答に内心バクバクと心臓が高まっていった。

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