艶恋味。

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「ちょっ、なんでまた」

「昨日あれから大丈夫だった？」

「……え？」




その言葉に反射的に動揺してしまった私を見逃さない、とでもいうように
またパシャリとシャッターを押されて。




「電気点検、大丈夫だったかなぁって思って」

「あ…、は、はい。異常はなかった、みたいです…」




カメラ越しに全部見透かされてる気がして
両手でそのレンズを覆い、無理やりにカメラを降ろさせた。

あー何すんのー、って言われたけど
私はそのまま足を進めて玉森さんも早足でついてきてくれる。




「俺も今度やっぱり家の電気点検でもしてもらおっかな」

「玉森さん家は綺麗だし古くないしそんな必要はないですっ。
それより！ほら、あの、今日の親睦会の店一緒に行きましょう。道とか分からないと思うし」

「ほんと？じゃあよろしくお願いしまーす」




わざわざ今日まで昨日のことを引っ張ってくるあたり
やっぱり彼には何かを勘づかれてるのかもしれない。

でも確信には触れてこないし
誰かに言いふらしたりとかそういうことをする人にも見えないから
そこまで気にすることでもないのかな…
気になるけど。







「では、今日はお疲れ様でした。
また後でお家に迎えに行くので」

「うん、待ってるね」



一通り説明を終えて仕事に戻ると
あゆみ先生に狡いやらなんやらと責め立てられた。

そんな心配しなくても
玉森さんにとって年上のこんな私なんて別になんとも思われてないだろうし
狡いも何もないと思うんだけどな。



「てことで、親睦会の時フォローお願いしますねっ」

「…はいはい、」



あゆみ先生のことは嫌いじゃないけど
こういうのはちょっと面倒くさいって思っちゃうのが
恋愛から遠ざかってる理由でもあるのかも。





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「「かんぱーい」」




そして仕事終わり、近くの居酒屋に
先生たち何人かと玉森さんと。

親睦会という名の、玉森さんをみんな狙ってる感があって
私は場違い感が半端ない。




「玉森さんはどうしてこんな田舎に来たんですか〜？」

「この辺めちゃくちゃ景色綺麗じゃない？
夕陽とかまじで絶景だなって思ったよ」

「そっか、確かにこの辺は結構撮影とかでも使われますもんね〜」




お酒も入ってみんなで楽しく玉森さんを中心に会話をして
私もそれを聞きながら飲んで食べて楽しんでいた。



そこに、





「あれ〜？
もえちゃんのお父さんと楓ちゃんのお父さんっ！」





まさかの人物が現れてしまった。

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