はちみつ色の日々 ２

北山担 ページ46

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毎日平凡に過ごしてた。

仕事も定時で、休日は土日で普通の生活。

友達も少ない方だし、彼氏もなし。

そんな私にとって唯一の生きがいが
アイドルの北山 宏光こと、みっくんだった。





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「うっわ、やばい遅刻するっ」




昨日はDVDのフラゲ日で
うっかり夜遅くまで一人で鑑賞してたら寝坊してしまった。

慌てて最低限の身だしなみを整えて家を出る。


日課としていたみっくんの声をイヤホンで聞きながら幸せに出社する余裕もなく
会社の最寄り駅で電車を降り、カバン片手にダッシュ。

急いだかいがあってギリギリ間に合うかも、と腕時計に目をやった途端



ドン……っ！と目の前に衝撃を受けて
そのまま倒れ込んでしまった。





「痛……っ、」




尻もちをついた拍子に
カバンからバサバサと書類が舞ってしまって
絶望感に襲われる。


やってしまった……

慌てて家を出たもんだから
カバンのファスナーを閉めてなかったし……。





「すみませんっ、大丈夫っすか？」





そして目の前にはキャップを被った男の人。

私がよそ見をしたからこの人にぶつかったんだな、と頭の中で理解して
私も慌ててすみません、と……………





って、あれ？

この声………聞き覚えのある………






「はい、これで全部かな？
一応確認した方がいいと思うけど」





考え込んでる間に散らばった書類を素早く拾ってくれて
手渡してくれるその人の顔を、ガン見してしまう。

キャップにマスクをしてるから目元しか見えないけど
この声と、目だけで分かる。

だって毎日私が見てる……………、





「怪我ない？」

「あ……、はい……っ」

「なら良かった、じゃあ俺行くから」




信じられなくて、頭が混乱して
ボーッとしてる間にその人は行ってしまった。

その人は……っていうか、
あれは確実に



「みっくん………？！？！」



だった。




「えーーー？！？！」



その場で絶叫して周りの注目を集め
会社は結局遅刻してしまったのは言うまでもない。

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