はちみつ色の日々 ２

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「待っ………て！！」




思わず口から出た言葉。

その声だけがマンションの廊下に響いたもんだから
宏光はもちろんのこと、部屋に入っちゃった女の子まで
ひょこっとまた顔を覗かせた。





「え？」


「あっ……いや、あの…………」





ど、どうしよう……っ！

引き止めたものの、どうしたらいいのか分からず
しどろもどろになるばかり。

もう逃げ出したい、とまで思ってしまった沈黙を破ったのは




「もしかして……
この人が北山先輩のあの例の………？」


「ばっ！お前言うなそれっ！」





後輩っぽいその女の子だった。





「うわぁ、そっか！
ごめんなさい！私誤解されましたよね？！
今から私の彼氏………あ、高嗣っていうんですけど
三人で飲みをしようとしてたんです！
高嗣と私は北山先輩の後輩なんですけどっ、いつもお世話になってて
それでいつも先輩から聞いてたんです、先輩が最近、

「もういいから、
もう何言ってるか分かんないし、ごちゃごちゃしてっから」





そっかごめんなさい〜、って申し訳なさそうにしてる子に
私は訳もわからず立ち尽くしてた。



えーっと…………、つまりどういうこと？






「じゃあやっぱり今日はなしにしましょう！
高嗣と二人でどっかで飲んでくるので、また今度三人で………、
いや、今度は四人になりますかね？」


「だからやめろって………」





イヒっ、て可愛らしく私に笑顔をくれた女の子は
そのまま宏光の部屋をあとにあっという間にいなくなってしまった。






「……………、」

「………………、」





残された私たちはまぁこうなるよね。

無言で気まずい雰囲気の中
ちっちゃく聞こえてきたため息の後、




「ま、とりあえず入れよ」




って、またナチュラルに部屋に誘ってくる。





「宏光って、簡単に女を部屋にあげるよね」


「いや、違うって。
さっきの奴は後輩の彼女だし二人きりじゃねぇし」


「それは分かったけど……」




でも私のことは彼女でもないのに
また部屋に上げようとしてるじゃん。

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