はちみつ色の日々 ２

ホスト宏光 ページ17

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「「かんぱーい」」




キラキラしてる店内に
お酒と香水が混じってる匂い。

仕事の付き合いで無理やり連れてこられた
30歳にして初めてのホストクラブ。





「先輩……、私もう既に帰りたいんですけど」


「え、なんで？ちゃんと最後までいてよ〜」



…………。





「美玲ちゃん大丈夫？
若いのにこんなとこ平気？」


「大丈夫です〜！むしろ楽しいです！
イケメンいっぱいですねっ」



……………。





先輩も後輩も、ホストクラブにノリノリでついてけない。

こうなってくると
乗り切れてない私が異常みたいじゃない。






「はじめまして、飲んでます？」


「あっ、はい………」




その時、隣に来た男の子。

隣いいですか〜？ってスラッとした身丈を私の隣に降ろして
蕩けそうな笑顔で私を見つめてきた。


心臓にサクッ、て矢が刺さる衝撃を受けるほど
とんでもない笑顔だった。

この笑顔が人をダメにする笑顔だって
絶対自覚してるじゃん、これ。






「ゆうたで〜す。
お姉さんの名前は？」


「あ、Aです」


「Aちゃん、可愛い名前〜。
Aちゃんあんまりお酒得意じゃない？」


「いや、そんなことはないんですけど…。
場に緊張しちゃって」


「ふふ、そっかそっか。
じゃあ俺が緊張解ける魔法かけたげよっか〜？」


「魔法……？」





バカ真面目な私は、どんな魔法だろうと真剣に考えちゃってたけど





「ぐるぐるぐるぐる〜、ぽんっ」




って、とんだふざけた魔法だった。(酷い)







「あ……、え？」


「んはは、やば、滑った？」


「あ、う、ううん……、あはは…は……」





うっかり母性をくすぐられそうな威力は持ってたけど
緊張が解ける魔法ではなかったような……。

現に今耳を赤くてして照れてるとこ見ると
可愛くてキュンとしてしまう。

ホストって怖い、耳の赤さまでコントロール出来るのかな。





「ゆうたさん、指名お願いします」




その時やってきたスタッフにそう告げられると
まじか〜、って残念そうな顔をしながら
あっという間に私の元を去っていってしまった。

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