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「じゃあね、Aばいばーい」

「ばいばい、また明日ね」




夕日で空が赤く染まる頃
お母さんやお父さんが迎えに来て帰っていく友達たち。

毎回この瞬間に少し胸が痛くなる。




"A"

って、ママやパパが迎えに来てくれてた時のことを思い出してしまうから。






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「A〜」



ひとりでボーッとしてしまっていると私を呼ぶ声が聞こえて
パッと振り返るとみっくんの姿。

夕日が眩しくて目を細めた。



「お待たせ、行くか」

「……うん!」



いつもの帰り道、自転車を押すみっくんと私の影が重ねって
なんだか不思議な気持ちになった。




「すげぇ今日の夕日めちゃくちゃ綺麗だな」

「確かに、真っ赤だね」




夕日に照らされてるみっくんがキラキラ輝いて見えて
小学生なりにドキドキしてる、と確信したのはきっとこの時。




「私ね、夕日が嫌いだったんだ」

「え?なんで?」



なぜだか突発的に言葉にしてしまったことを後悔して
言葉を続けるのに少し戸惑ったけど
みっくんには伝えておきたかったんだと思う、私の気持ちを。




「昔、ママとかパパが夕日の中公園に迎えに来てくれてて。
それ思い出しちゃうんだよね。
あと、病院に呼ばれた時も夕日が綺麗な夕方だった、から……」



あの日のことはあまり言葉にしないし、みっくんもお母さんも必要以上に聞いてこない。
だから口にした瞬間に、ツンと鼻の奥が熱くなる。




「そっ、か……」

「でもね?みっくん達と一緒に暮らすようになって
いつもみっくんが迎えに来てくれるでしょ?
だから夕日が好きになった、夕日が待ち遠しくなったの!」




見上げると、少し照れたように笑う顔。

その隣を歩きながらかさなる影を見つめ
いつまでもただこうしてたいって、
ただ、それだけをおもっていた。

7―中学生→←5



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siori(プロフ) - みゆちゃん良かったねw。久しぶりの新作楽しみです♪ソライロの歌詞も見てきちゃいました(大切w) (2022年11月18日 15時) (レス) id: 61df7685fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はちみつみゆ | 作成日時:2022年11月16日 20時

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