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私は空が嫌いだ。
抜けるような青い空も、赤く染った夕日も、真っ暗な夜空も
吸い込まれそうで怖くなる。
「俺ん家、来る?」
でもあの日、あなたに出会って全てが変わった。
そう、あの日から――――
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「うちでは引き取れないわよ」
「うちだって無理よ、二人も子供いるんだし」
まだ私が小学生になったばかりの頃
両親が事故で亡くなった。
現実味も何もなく、近くの部屋から聞こえてくる大人たちの会話を背に
なぜだかずっと空を眺めていたのを覚えている。
「泣いてんの?」
そんな時ひょこっと目の前に現れた男の子。
こめかみに貼られた絆創膏が印象的で、
「あれ、泣いてねぇじゃん」
泣いてるかと思った、って笑いながら。
「俺ん家、今日カレーなんだって。カレー好き?」
「……」
急になんの話をしてるんだろう、ってかなり怪訝な顔をしてたと思う。
黙り込む私にその男の子はそのまま話を続けた。
「あんま母ちゃんには言ったことねぇけど、激うまだようちのカレー」
「……」
戸惑いからただひたすらにその男の子を見つめてたら
ポリポリと照れたように絆創膏に触れて
そのままその手を私に差し出した。
「俺ん家、来る?」
夕日に照らされたその姿は今でも昨日のことのように覚えてる。
幼いながらに、不安と絶望の中で戦っていた私に差し伸べられたその手を
無意識に強く握っていた。
「よし!行こうぜ」
二カッ、て笑うその笑顔に私は
何度救われてきただろう。
遠く霞む空と繋がれたままのその手。
その手からそっと感じる温もりに
少しだけ戸惑っていた。
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siori(プロフ) - みゆちゃん良かったねw。久しぶりの新作楽しみです♪ソライロの歌詞も見てきちゃいました(大切w) (2022年11月18日 15時) (レス) id: 61df7685fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちみつみゆ | 作成日時:2022年11月16日 20時