泣き顔マニア ２

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きっとこの時間に電話をくれるのは北山先輩だ。

本当だったら
明日楽しみだな〜、って少し照れたような声で言われるであろうその電話も





「………出ないの？」


「…大丈夫……、」





今は出れない。





「北山先輩からなんじゃないの？」


「……、」


「ちゃんと出なよ、なんなら俺ちょっと外すし」


「やだよ………」


「え？」


「今逃したらもう……っ、」




裕太とこうなることはないと思う。

今この瞬間を逃してしまったら
二度とこんな雰囲気になることはない……、
と思ってしまうほど私には自信がない。





「大丈夫だから、また今度ちゃんと話そ」


「え……？」


「ちゃんと、考えるから」





耳を疑うような言葉だった。

いつもの可愛い笑顔で笑う裕太を凝視してしまうほど。
あの裕太がまさか
私のことをちゃんと考えてくれるっていうなんて……。





「えっ、待って、ほんとに？」


「いやっ、でもそんな期待しないでっ。
遥さんのこと完全に諦められるのは時間かかるし……」


「わ、わかってる……っ！」


「分かってないじゃんっ、
そんな期待に満ち溢れた目しないでよっ」


「え、ごめんっ」





危ない危ない。
無意識に顔が緩んでた。

でも、しょうがなくない？
今まで私の気持ちと向き合ってくれたことすらなかったんだから
大進歩すぎる。





「ってことで、まずもっかいちゅーしとく？」


「や、やだよっ///」


「あっれ〜？
さっきは、もっかいキスして、って

「わー！！やめてっ！！///」




んはは、って笑ってる裕太を睨んでみる。

冷静になった今改めてそう言われちゃうと
もう出来ないし………。

いや、でもしとくべきだった？
なーんて、自然と気分が弾んじゃうじゃん。





「でもさ、まじでちゃんと北山先輩のことも考えて」


「………うん、」


「先輩といる時のA
ちゃんと幸せそうに見えてたからさ」





……そんな風に見られてたんだ。

でも確かに先輩に惹かれてるのは事実だったから
そう見られても仕方ない。

けど、
裕太に今日揺さぶられただけで簡単にまた気持ちが傾いてしまった……。

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