泣き顔マニア ２

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自分でもよく分からなくなってた。

裕太のことは変わらず好きなはずなのに
周りの変化についていけなくて。

私もなにか変わらなきゃいけないんじゃないかって
そう思わずにはいられなかった。




「その質問されたところでさ
俺はAに付き合ってほしいわけだし」


「………ですよね、」


「でも、付き合うからには絶対大事にするけど」


「…………、」





"大事にする"だなんて初めて言われた。

その言葉があまりにも甘くて
食べてるおにぎりまで甘く感じちゃうんだけど。




「……先輩って、意外に甘いこと言いますよね」


「そう？
そんな言わないけど、ってか好きな子にしか言わないけど」


「また好きな子ってっ…！」


「ふはっ、いい加減慣れろよ」





先輩といると、愛されてるって節々に感じられるから心地いい。

でもそれと比例して切なさとか
苦しさとかも襲ってくるのに……、





「俺の好きな女」




ぎゅっ、て私の心を掴む言葉が
自然に触れてくる指先が、

どうしても私を少しだけ揺らしてしまうんだ。





「………前向きに、考えたいです」




まだ先輩のことを好きになれるかは分からないけど
ひとつだけ分かるのは、今のままじゃ一生なにも変わらないってこと。





「えっ、まじで？」


「えっ、先輩が言ったんじゃないですかっ」


「うん、まぁそうなんだけど
まさかそんな……、」





先輩から押してきたくせに
急に驚き始めるから
からかわれてたのか？！とか思っちゃってると、





「やべぇ…、嬉し……」




噛み締めるようにそう呟いたかと思うと


さっきからなぜか触れてた手を引かれて
椅子ごと先輩の足の間に収まってしまった。





「好き、まじでAが好き」


「………はい、」


「Aは？」




目が、声が
やばいくらいに甘くなっちゃってるんですけど…。






「好き……………に、なれるように頑張ります」


「そこは好きでいいだろ」





ばか、っておでこを小突かれて
その軽い痛みとは反対に
唇には甘い刺激が与えられた。

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