はちみつ色の日々

再会 ページ26

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私は今、窮地に立たされてる。





「え？私がですか？！」


「うん。
北山さんと知り合いなんでしょ？
だったら他でしてくれない話もしてくれるかもだし、よろしく〜」


「え、ちょっ、！」





雑誌の出版社で働いてる私が
先輩に言いつけられた取材場所や人のところに行くのは日常茶飯事なわけだけど、

今回とはいつもとはわけが違った。


だって………、





「初恋相手のとこ、取材行くんだって〜？」





ニヤニヤとデスクから顔を覗かせてる同期の梨花。



そう。

北山さん、通称ひろは私の３つ上の先輩かつ
隣住んでたお兄ちゃん
そして、私の初恋相手だった。






「やだもう、どうしよう……」


「いいじゃんいいじゃん、
初恋相手と約20年振りの再会なんて！
燃えそう〜っ！！」


「……やめてよ、絶対ないから……」






だって私は何度も振られてる。

小さい頃から一緒だったひろを好きになって
無邪気に懐く私を、可愛がってくれてた。

それは中学に入っても変わらず
"好き"を伝え続けてたのに……、






「そんなの分かんないじゃない。
もういい大人なんだよ？
付き合い方なんていっぱいあるし」


「………それはセ フレにでもなってこいってこと？」


「だって飲んでる時いつも
"身体だけでもいいからひろに愛されたかったよ〜"って今だに泣きながら言うじゃん」


「ば、ばかっ！大声で言わないでっ！///」





一度もこの気持ちに答えてくれることもなく
身体だけでもなんておこがましいくらい、手すら繋げずに終わってしまった。

高校卒業と同時に疎遠になって
さすがに大学までは同じとこに行く気力もなくなり
今に至る。

もう30代に突入しちゃったのよ。






「まぁでも仕事なんだしさ。
なんかあったらラッキー♪くらいにして行ってきなよ」


「でもぉ〜忘れられてたらまたショック受けるよぉ〜」


「何度も振られてんだからそれくらい余裕でしょ」





……分かってないな。

これだけ大人になってからメンタルが削られると
回復までに時間がかかるんだからね。

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