HONEY LOVE ６

北山サンタさん ページ27

.



「メリークリスマース♪」




ひと足早く、Aとのクリスマス。
明日からはずっと仕事があるし
その前に会っときたいって熱望があったから
俺ん家でささやかにパーティ。




「せっかくなんだから帽子だけじゃなくて
サンタコスでもすりゃ良かったのに」


「えー、じゃあリクエストしてよ！
勝手にサンタコスなんてしたら痛いかなって思って控えたのに」


「まぁ別にいいけど」




サンタの赤い帽子被ってるだけでも可愛い、ってのは言わないけど
多分俺、顔がニヤついてんな。




「明日はみっくん早いし
あんまり遅くまでは飲めないね」


「だな〜。ビールも一本くらいにしとこ」


「じゃあ私はみっくんの分も沢山飲むね」


「飲むな飲むな、やめとけ」




飲み過ぎるとろくなことにならねぇし、






「ううう……、みっくん……」





って思ったけど、二時間ほどたって気付けばこの状況。

テーブルには空き缶が散乱してて
なぜか隣で泣き上戸になってるA。






「お前、飲み過ぎんなっつったのに……」




俺明日からずっと仕事だぞ？
この後始末すんの大変なんだけど、って苦笑しながら
テーブルの上を片付けようとしてると





「クリスマス…会いたかったな…」





ってポツリ。

思わず手を止めてまた隣に腰を下ろした。





「会いたかった？」


「……うん、だってここ最近ずっと……」


「だよな〜。三年連続はありがたいけどな」




もちろん三年連続なんて嬉しすぎる仕事だけど
やっぱAからしたら寂しいだろうし
酔っ払ってるからこそ聞ける本音に耳を傾けてみる。

グスグスしなから体育座りしてるから
その顔を覗き込んで、ティッシュでその涙を拭って。





「泣くなよ、泣いてたらサンタ来ねぇぞ」


「私はいい子じゃないからサンタは来ないもん……」


「何言ってんだよ、いい子いいい子〜」





サンタ帽をスポっと取って頭を撫でてやると
子供扱いしないでよ、ってジト顔してるけど
ちょっとニヤついてて嬉しそう。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す