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49 北山side ページ49

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「食う?」


「あっ、はい」




物欲しそうに唐揚げを食う俺を見てるから
ひとつ摘んでAの口元へと差し出した。




「えっ?!」


「え?食うんじゃねぇの?」


「いやっ、ひとりで食べれますからっ」




ふーん、そういう事か。

食べさせてもらうことに照れてる、
ちょっと暗くてはっきりとは見えないけど
絶対顔赤くしてんじゃん。




「あーん」


「やだっ、やめてくださいってば」


「買ってきてやったのに
俺の手からは食えないってか?」


「………買ってきてとはたのんでないですけど、」


でもありがとうございます、って
どんどん声が小さくなりながら。

一度下に向けた視線をまた上げて
唐揚げ越しにAと目が合った。





「……いただきます」




パクっ、と極力俺の指に口をつけないように
めちゃくちゃ浅く咥えた唐揚げ。

油がAの口元を潤して
恥ずかしそうにもぐもぐしてる。




……唐揚げってこんなにえろい食いもんだったっけ。






「んまい?」


「んっ!これ辛い唐揚げだっ」


「そうそう、俺これ好きなの」


「まじですか〜、私チーズのが好きです」


「おこちゃまめ」


「チーズは別におこちゃまじゃないですよっ」





こういう何気ないやり取りも
癒されるし、ずっと話してたいって思っちゃうほど楽しい。

唐揚げひとつでこんなに笑顔になれる相手って
そうそういないと思うし。






「遥とさ、話したんだって?」


「……それも裕太から聞いたんですね、」


「そっ。
今日Aが残ってんのも、遥と話したってのも全部玉からの情報」


「もう……、裕太のおしゃべり」





一応あいつは俺の後輩だからな、って威張ってみせると
また複雑な顔して、おもむろにおにぎりの封を開ける。





「で?なんか言われたんじゃねぇの?」


「………なんか…、
よく分かんなくなってきちゃったんです…、」





パクっとおにぎりにかぶりついて
小さくもぐもぐしながら目を伏せてる。




「なにが?」


「私はもう、裕太のことは諦めて
先輩のことを好きになった方がいいんでしょうか……?」




俺に心が揺れてる……?

ってわけではなさそうなだけに
その言葉が痛くて、引っかかる。

それでも、その質問の答えを俺に委ねられたら
答えなんてひとつしかねぇんだけど。

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はちみつみゆ(プロフ) - yammyさん» そらジローのお話、まじで書いちゃいました。笑 何が書きたいの?って感じのくだらないお話ですけど良ければ短編集の方で書きましたので暇な時にでも覗いてやってくださいね(^^)そしてこちらも移行したのでよろしくお願いします♪ (2020年7月11日 21時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
yammy(プロフ) - そらジローのお話も今から楽しみにしておきます!(*゚▽゚*)笑 (2020年7月10日 21時) (レス) id: 36ae78d69b (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - さっこさん» そう言っていただけて感謝ですー(;▽;)私も長編を覚悟してたんですけど、案外終わりそうだなと思いまして。笑 北玉で揺れる人生歩んでみたかったですよね…でも私実際その状況だったら玉ちゃん溺愛しそうな気がします(誰担や)移行先でもよろしくお願いします♪ (2020年7月10日 16時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - ソフィアさん» 私もです〜!あの可愛さは罪ですよね…。私たちですら悶えてるんだから、みっくんなんてもうお顔デレデレでしょうね(^^)両バージョン完結!私もそれ考えたんですけども…どうしようかと…ちょっと考えてみますね♪移行先でもよろしくお願いします♪ (2020年7月10日 16時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - え?もう次で終わっちゃうんですか?勝手に結構な長編になるかと…。このお話の北山先輩めちゃくちゃ好きなので、まだまだ続いて欲しい気持ちでいっぱいです!笑 北玉の間で揺れるなんて贅沢ですよね〜!こちらのお話の更新、毎回すごく楽しみにしてます(´∀`*) (2020年7月10日 0時) (レス) id: 6eb9e2cf38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はちみつみゆ | 作成日時:2020年5月26日 10時

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