泣き顔マニア

４０ 北山side ページ40

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無茶ぶりをしてとりあえず目はつぶってみるけど
めちゃくちゃ動揺してるAが目に浮かぶ。


「なーんてな、冗だ………、


言葉途中で、頬に触れたなにか。

あったかくて、柔らかくて
さっき口に触れた感覚と同じ……、





「え、お前……、」




目を開いてみると、顔を真っ赤にしてるA。
見ないでっ、て顔を覆ってぷいっと逸らした。





………勘弁してくれよ。






「可愛すぎんだろ………」


「えっ、？」


「お前はほんとなんなんだよっ」


「なっ、だって先輩がキスしろって」


「だからって……、」




本当にするとは思いませんやん。

まさかこの歳になって
ほっぺにちゅー、なんて可愛らしいことされるとは思ってもいなくて
正直、口にされるより何倍もキタ。





「ごめんなさい、冗談でした……？」




こっそり悶絶してる俺の顔を
心配そうに覗き込んでくるAもまた
まだちょっと潤んでるし可愛いし。





「冗談のつもりではあったけど、」


「わっ、やだ、すいませんっ」




だったら早く言ってくださいよ、って
さっきキスしたとこをゴシゴシ拭こうとしてくるから
その手を取ってまた抱き寄せた。





「違うよ、めちゃくちゃ嬉しい」




やばい、まじで。
こんなに可愛いなんて聞いてねぇぞ。



「………は、はい、」



そんでまたその少し体を離して見上げてくる、そそられる顔。



「もうやめろってまじその顔〜」


「なっ、別に普通の顔ですけど？！」


「ちょっと変顔しろよ、俺が萎えるような」


「えっ、んー……じゃあ、」




………………、

そしておどおどと本当に変顔しだしたけど
唇むにゅってして結局可愛いしな？




「それのどこが変顔だよ、可愛いわ」


「……可愛い可愛い言わないでくださいっ」


「なんでよ」


「甘すぎて、先輩らしくないし調子狂うじゃないですか……」




その調子が狂うってのは
いい意味なのか、悪い意味なのか……？

頬を抑えてるけど
ちょっと期待しちゃうんだよなぁ、こいつの反応。

でもまぁ今は、



「良かった。
ちょっとは落ち着いたみたいだな」



とりあえず涙が止まったっぽいAにホッとした。

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