泣き顔マニア

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「そ…う、なんだ……」


「うん、Aには一番に報告しておこうと思って」




私の気持ちを知ってるからこそ
こうしてわざわざ家に来てくれてまで報告してくれたのは分かるけど………、




「そっか……、そっかそっか！良かったね！」




正直聞きたくなかった。

だからといって、ひとづてに聞くのも傷つくのに間違いはないけど

でも、でも…………、



聞きたくなかったよ。






「……喜んでくれてる？」


「うん……っ、もちろんっ」


「………ごめん、ね？」





眉を下げて申し訳なさそうに。

本当は、大好きな遥さんと付き合うことが出来て
飛び上がるほど嬉しいはずなのに
こんな顔にさせてるのは私だ。





「……な、何言ってんのよっ！
好きな人が幸せなら、私も幸せだよ？
だからちゃんと幸せそうな顔してよっ」




いつもみたいに顔をふにゃふにゃにして
大好きが溢れてるみたいなあの笑顔。





「………ありがと。」




本当なら私がその笑顔の元になりたかったのに
結局はその笑顔を引き出せない。

私の力不足なのか、こういう運命なのか

運命だとしたら、神様……、
残酷すぎないですか………？






「よし！詳しいことは仕事終わりとかご飯食べながら聞くからっ。
彼女出来たのに、女の子の部屋にあんまり長居しちゃダメでしょ？」


「うん、だね」


「まぁ私なんて裕太にとって女なんてもんじゃないかもだけど」


「そんなことないよ、Aはちゃんと女の子だよ？」





………もう。

必死で涙を堪えてるのに
そんなこと言われたら、緩んじゃう。





「………っ、ほら！帰って帰ってっ」




ソファから立ち上がらせて、ぐいぐい背中を押して
このおっきい背中も大好きだから
こんな時でも、触れてる手がドキドキしてる。





「もう、そんな急かさなくても〜」


「はいはい、こういうのは誤解されちゃダメだからねっ」





早くしないと限界を迎えちゃいそうで
なるべく顔を見ないように、早々と押し返そうとするのに





「A」




って、大好きな声で私の名前を呼んでくる。

振り返って、真っ直ぐに私の目を見て。

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