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「なんかあったら
いつでもなんでも言ってください」
「………うん、」
「一人で抱えちゃ駄目っすよ……?」
裕太は優しい。
たまに冷たく感じる時もあるけど
言葉が優しくて、温もりがある。
「………あり、がと………っ、」
だからかな?
その温かさに涙が零れるのはきっと自然なことなのに
羨ましくて仕方ない。
「大丈夫、大丈夫っすから」
「…………っ、
もう……、いっぱい泣いたはず、なのに………っ、」
顔を覆って涙を隠す遥さんの背中を撫でて
その目は愛しさで溢れてる。
さっきまで元気そうに見えた彼女の姿も
今となってはもう、裕太の優しさにしがみついてるようにすら見えて
胸がギューっとなり、私まで鼻の奥がツンとしてきた。
………ここで私が泣いてどうすんのよ。
「…っ、」
背中を向けて
そんな二人をよそに、そっと部屋を出る。
きっと裕太から私は見えてたはずなのに
その手は、その瞳は
遥さんから離れることはなかった。
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「何してんの、わたし………」
こうなることなんて分かってたはずなのに
自ら傷つきに来て、ズタボロになって。
もう部屋を出たはずなのに
脳裏から離れない二人の姿が、私の涙を誘ってくる。
「…………ふっ、う………っ、」
いつの間にか沈んでた夕日に辺りは暗くなっていて
一人涙する私を隠してくれてるようで好都合だった。
どうして私の涙は拭ってくれないのに
彼女の涙はいとも簡単に裕太に拭ってもらえるんだろう。
私の方がずっとずっと
気持ちも時間も大きいはずなのに。
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*****
それから何も考えずに電車に揺られて
ボーッとしながら家の最寄りの駅で降りる。
少しでも何かを考えてしまったら
今ごろ二人がどうなっているのかを悪い方に悪い方に考えてしまいそうで。
「おかえり」
その時聞こえてきた声に
顔を上げると、
「…………先輩……、」
私の家の前には北山先輩がいた。
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はちみつみゆ(プロフ) - yammyさん» そらジローのお話、まじで書いちゃいました。笑 何が書きたいの?って感じのくだらないお話ですけど良ければ短編集の方で書きましたので暇な時にでも覗いてやってくださいね(^^)そしてこちらも移行したのでよろしくお願いします♪ (2020年7月11日 21時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
yammy(プロフ) - そらジローのお話も今から楽しみにしておきます!(*゚▽゚*)笑 (2020年7月10日 21時) (レス) id: 36ae78d69b (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - さっこさん» そう言っていただけて感謝ですー(;▽;)私も長編を覚悟してたんですけど、案外終わりそうだなと思いまして。笑 北玉で揺れる人生歩んでみたかったですよね…でも私実際その状況だったら玉ちゃん溺愛しそうな気がします(誰担や)移行先でもよろしくお願いします♪ (2020年7月10日 16時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - ソフィアさん» 私もです〜!あの可愛さは罪ですよね…。私たちですら悶えてるんだから、みっくんなんてもうお顔デレデレでしょうね(^^)両バージョン完結!私もそれ考えたんですけども…どうしようかと…ちょっと考えてみますね♪移行先でもよろしくお願いします♪ (2020年7月10日 16時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - え?もう次で終わっちゃうんですか?勝手に結構な長編になるかと…。このお話の北山先輩めちゃくちゃ好きなので、まだまだ続いて欲しい気持ちでいっぱいです!笑 北玉の間で揺れるなんて贅沢ですよね〜!こちらのお話の更新、毎回すごく楽しみにしてます(´∀`*) (2020年7月10日 0時) (レス) id: 6eb9e2cf38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちみつみゆ | 作成日時:2020年5月26日 10時