甘く、苦く、こい。

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「ねぇ明日香、いいエステ知らない？」




久しぶりに明日香と一緒になったお昼休み
そう急に詰め寄ると、驚いた顔で凝視された。




「え、なに急にどうした？
今までそういうのあんまり興味持ったことなくない？」


「うん……、ちょっと色々気になってきて……」


「北山くんのため？」


「まぁ、ね」





そっかそっかー、って楽しそうな明日香を横目に
お弁当を摘んだ。

今まで年下の子と真面目に付き合ったこともなかったし
宏光の引き締まってる体とか体力とかを体感する度に
自分も頑張らなきゃ捨てられちゃうんじゃないかな、って不安に駆られる。





「北山くんって年下好きそうだもんね〜」


「そうなの！
だから私と付き合うってのも不思議なんだけど
彼女になったからには捨てられたくないし…」


「だから自分磨きを頑張ると？」


「うん、少しでも若くなれるように」





実年齢はどう頑張っても縮めることは出来ないものだから
せめて見た目だけでも釣り合うようにいたい。

こんな風に思うのなんて初めて。







「でも案外あっちも不安かもよ？
年下なわけだし、色々思うことはありそうじゃない？」


「それがさ、最近の北山くんやけに余裕そうなの」


「え〜？そうなの？」


「最初と今とじゃ責められ方が違うっていうか……」


「なーんだ、惚気？」


「ち、違うくてっ！///」





そういうんじゃないんだけど
一緒にいればいるほど、魅力的な一面を見せられて
完全に抜け出せなくなってしまってる自分が怖い。

これでいつか若い子に乗り換えられて捨てられちゃったら
私はもう立ち直れない気がする……。

だから、




「とにかく！なんかいいとこ教えてっ」


「分かった分かった、エステにネイルに色々いいとこ教えるよ」


「ありがと〜！」





少しでも出来ることを頑張りたい。

少し前の私じゃ考えられないくらい
一人の男に対して執着しちゃってると思う。

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