甘く、苦く、こい。

４０ 北山side ページ40

.


まさかのまさか、Aの思わぬ気持ちを知れて

若干丸め込む感じになった感はあるけど
気持ちは一緒ってことだよな？

恋愛経験こそ多そうなのに
自分の気持ちに鈍いというか、とことん不器用なんだなって
そんなとこすら愛しくなる。







「よし、じゃあちゃんと正式に返事ちょーだい」


「え？」


「彼女になってくれんの？」






あとから
彼女になるなんて言ってないもん、
とか言われたらたまったもんじゃない。

Aのことだからないとは言いきれないし
ちゃんとした彼女からの言葉が欲しくて。







「………うん。彼女に……してください」


「んふ」


「あっ、なんで笑うのよっ」


「いや〜今の動画に残しときたかった」


「やめてよ、もうっ」





途端に顔を赤くして素直になるとこも可愛い。





「好きだよ、A」


「うん、私も宏光が好き」


「どんくらい？」


「ん〜……、今までの男と比べ物にならないくらい？」


「…………微妙な答えだな」





他の男と比べんなよ、ってじとっと睨んでやると
まずい、と思ったのかまた俺にくっついてきて
首元に擦り寄るように顔を埋めてきた。

ちゅっ……、と音を立てて首に吸い付いてくるから
そんなんじゃ誤魔化されねぇぞ、と思いつつ






「………抱きたい。」






とりあえず触れたい、愛したい。

そんな欲が勝っちゃうんだよな〜。






「私も、宏光にめちゃくちゃにされたい」





カプっ、て下唇を噛まれて
俺も負けじとAの柔らかい上唇を甘噛みした。

こんな積極的なことをいうAにもゾクゾクするし
さっきの顔を赤くするAにもキュンとするし、







「どうしてくれんだよ、ほんと……」






結局はきっと
どんなに行為で俺が優位に立とうが
それすらもAにコントロールされてんのかもしんないな、って思う。

抜け出すことなんてきっと出来ない
この甘くて甘い、罠みたいな沼におぼれて。

４１ 北山side→←３９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す