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「北山くんと付き合っちゃえばいいのに」
「今更……?
ていうか、彼にそんな気持ちはないんじゃないかな……」
「そうかなぁ〜?
そもそもAの気持ちも曖昧だよね、どっちが好きなのか」
「好き…………、」
それはきっと宏光のことが好きなんだと思う。
少し興味があったから初めて声をかけて誘ったけど
自分でも気付いてなかっただけで
宏光のことが最初から好きだったのかもしれない。
自分で自分の気持ちにも気付かないなんて
どれだけバカなんだろ……。
「とりあえず最優先するべきは
社長の息子とのことじゃない?
そこを片付けないと、前にも後ろにも進めないと思うし」
「うん……」
お弁当を食べ進める指先が冷たい。
宏光の温もりが欲しいのに
今更になってこんな勝手な自分の気持ちを
どうしたらいいのかが分からなかった。
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******
「渉さん……っ、」
「こんばんは、来ちゃった」
仕事を終えて会社を出ると
見慣れた車を脇に止めて、モデルのような出で立ちで私を待ってる横尾さんがいた。
なぜ、このタイミング……。
「お仕事は?」
「今日は珍しく早く終われたから
一緒にご飯でもどうかと思って」
「そう、なんですね。
連絡くれれば良かったのに、お待たせしちゃって」
「ちょっとたまには父の会社も見とこうかと」
「ふふ、偵察ですか」
少し残業したから中途半端な時間で
会社周りもあまり人がいなくて、ホッとしながらそんな話をしていたのもつかの間
「お疲れ様っした」
後ろからそう声をかけられて
その声に一瞬で体が強ばった。
「北山くん……」
「これからデートっすか?
いいっすね〜。あ、俺Aさんの後輩の北山っていいます」
そう言って人懐っこい笑顔を見せると
渉さんにペコッと頭を下げる。
それを私は真横から見ていて
息をするのも忘れるくらい、心臓が悲鳴をあげていた。
「こちらこそ、いつも父がお世話になってます」
「ははっ、俺が社長にお世話になってんすよ」
そんな二人のやり取りも左耳から右耳に流れていくみたい。
そんな私を通り過ぎるように
宏光を慕ってる後輩の田部ちゃんもやってきて
まるで他人かのように、お疲れ様の挨拶をされて二人で消えていってしまった。
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はちみつみゆ(プロフ) - みちこさん» ありがとうございます〜!確かに体の関係から恋愛に発展するなんてなかなかないですよね〜だからこそ難しかったのかな?!笑。バクテリア並のドキドキ…あのバクテリアはやばいので越えられないとは思いますが笑、更新また頑張っていきますね♪ (2020年4月19日 17時) (レス) id: 7eaa343f00 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - くまのこさん» くまのこさん、ありがとうございます〜!そう言って貰えて嬉しいです(;_;)大人女性、出来る余裕な女って自分とかけ離れすぎてて難しいですね。笑 コメントくださって本当に励みになります〜!また他の作品でも更新頑張っていくので良ければ遊びに来てくださいね^^* (2020年4月19日 17時) (レス) id: 7eaa343f00 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - ちょうすけさん» こちらにもありがとうございます♪年上彼女、そういってもらえたら嬉しいです(;▽;)北山さんが年下好きなイメージだからかな?なんでか難しいんですよね〜なんでなんだろ。笑 またほかの作品でもお待ちしてますね。ありがとうございました^^* (2020年4月19日 17時) (レス) id: 7eaa343f00 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - とーかさん» わわ!とーかさん!ありがとうございます〜!涙。いやいや、なんだか長編にしたものの上手く流れが掴めないまま終わってしまいました(爆)本当に最近は色々ありますね〜お互いまた自担に会える日を楽しみに頑張っていきましょうね(;▽;) (2020年4月19日 17時) (レス) id: 7eaa343f00 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - 遅ればせながら完結お疲れ様でした(^.^)意外と不器用な二人が可愛くもあり羨ましくもありました(^_^)体の関係から純愛になるなんて素敵です(^_^)ころころ〜楽しみにしております(^_^)バクテリア並のドキドキをお待ちしております(^.^) (2020年4月19日 14時) (レス) id: bc5e5281cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちみつみゆ | 作成日時:2020年2月28日 22時