HONEY LOVE ５

欲しい愛と知らない恋 ページ2

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「ただいま〜」


「おかえりなさい、今日早かったね」


「おう」





仕事が早く終わった、わけではない。

今日が何の日かくらい
いくら仕事が忙しくたって分かってる。

昨日の夜に、めちゃくちゃ部屋が甘ったるい匂いに包まれてたのも知ってる。



それなのに…………、





「今日ちょっと雨降ったね〜
傘ないから少し濡れちゃった」


「ふーん」


「ふーん、て。
なんでそんな無関心なの〜！」





雨だの傘だの、んなのどうだっていんだよ。(酷い)

それよりまず俺に
渡すもんがあるんじゃねぇのか？！？！





「ひろは？濡れなかった？」


「だって俺車だもん」


「あ、そっか。
こんなに早く帰ってきてくれるなら
乗せてきてもらえば良かった〜。
あ、ご飯食べるよね？今準備するね」


「ちょいちょいちょい、待て待て」


「え？」





いや、飯も大事だけど
一向に渡される気配のないそれに
なんだかだんだんイライラすらしてきたぞ。

キッチンへと向かおうとするAの手を取り
ストン、と隣に座らせても
まだキョトンとしてる。

いい加減、察してくれ。





「なんかあんじゃねぇの？」


「…………なに？」


「なにって…………、」





ここまで俺がしつこく待ってるのには理由がある。



遡ること、何時間も前
朝、俺よりも遅く来る玉の手にはチョコがあって

"Aに貰っちゃった〜"

って、嬉しそうに俺の目の前で食べやがった。







「なんなの？
お腹すいたんだけど」


「俺だって腹減ってっけどさ」


「だったらご飯、
「チョコ！」



「え？」





言ってしまった。自分から。

ええーい、もうこうなったらやけくそだ。





「チョコだよ、チョコ！
今日バレンタインだろ？！」


「あ〜、チョコが欲しかったの？
なんだぁ、それならそうと早く言ってよ〜」





"早く言ってよ"じゃねぇよ。

普通は女から渡すもんなんじゃねぇのかよ……。


待っててね、って何やらパタパタと冷蔵庫へ向かうAに
我慢出来ずに言っちゃった自分が
すげぇ恥ずかしくて、思わずため息が出た。

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