ころころ愛ごころ

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「はい、ここだよ〜」



………とか思いながらも
結局はついてきちゃったわけなんだけど、




「おっきい………！」




見上げなければならないほどの高いマンション。

そこへ手馴れた様子で入っていく彼のあとを必死で追うと
ポチッと最上階のボタンを押す太輔さん。





「…………最上階？」


「うん、一応オーナーみたいなもんだからね。
Aの部屋はまだとりあえず準備とか整ってないから
とりあえず俺の部屋でいい？」


「はい………」





いや、待て待て待て。
そんな簡単に男の部屋にお邪魔してどうするの。




「いやっ、でも迷惑だしっ」


「俺は店の準備もあるしすぐ行くけど
適当にシャワー浴びて少し寝てからでもまた店に来てくれればいいから」





あ、太輔さんはいなくなるのね。

残念なようなホッとしたような……。

それにしたって優しいなぁ
こんな見ず知らずの女に。





「あ、北山も最上階に住んでるんだけど
暇な時にでも挨拶に行けばいいよ。
ていうか、毎日のように夜にうちの店にご飯食べに来るから嫌でも会うだろうけど」


「仲良しな兄弟ですね」


「いや、全然。」


「ぜ、全然……？」




そこはキッパリと否定されて
なんだか不思議な気分。

ていうか、そこまで否定されると逆に
なかよし疑惑が深まるけども。





「それよりさ、昨日の記憶あんまりないんでしょ？」


「そうなんです………」





そんな話を振られながら
エレベーターに乗り込んで
グーっと上に上がっていく。

そんな密室空間で
突然とんっ……、と壁ドンのように端っこに追いやられた。






「…………？！」




急な密着に体が強ばって
身動きが出来ない。





「なかなか面白いこと
カミングアウトしてたよ？」





そう言って私を見下ろしてクスッと笑うと
タイミングよく到着したエレベーターに
密着された体が離された。





「え？な、なに？！？！」


「教えな〜い」


「えぇ？！？！」





なぜだか楽しそうにエレベーターを降りるその背中を見送りながら
必死で思い当たる節を考えるけど、





「早く、置いてっちゃうよ」


「あ、はいっ」





なんだろう、心当たりがありすぎて分からない。

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