ころころ愛ごころ

６ 北山side ページ6

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「とりあえず今日はここの休憩室で寝かせるから
俺も一緒に泊まるし」


「え？」





そ、それって…………、




「あ、俺はもちろん違うとこで休むよ？
さすがにここで変なことしたら渉に怒られるし」




思わず疑いの目を向けてたらしく
それに気付いた藤ヶ谷が笑って見せた。




「ふーん、大丈夫？」


「大丈夫。
明日起きたらまた話聞いてみるから
北山は帰ってもいいよ、明日も仕事でしょ？」


「うん、じゃあ帰るかな」





俺が連れてきたのにここまで任せていいのかなって思ったけど
案外楽しそうだし、本当に迷惑だったら意地でも俺に押し付けるだろうし。






「でもさ、ちょっとひとつだけ聞いてもいい？」


「ん？なに？」





休憩室に寝かせるための準備だけでも手伝おうかと立ち上がるとそう言われて
藤ヶ谷も立ち上がった。






「なんで急にこの子連れてきたの？」


「………え、」


「いつもだったらこんな事しないじゃん。
女の子に声をかけることはあっても
ここに連れてくるなんてしたことないし」






………それは確かに。

でも、どうして連れてきたかって言われると
なんて答えたらいいのか戸惑う。

そんな明確な理由もないし。






「なんとなく？
ちょうど店の前で困ってたし、可愛かったし」


「俺らが小学校の時の初恋の
マキちゃんに似てるよね、この子」


「…………あ。」





相変わらずスヤスヤとテーブルで寝てるAに視線を移す藤ヶ谷につられるように
俺も視線を移せば、





「確かに似てっかも」


「でしょ？
店に入ってきた時凄い似てるって思って。」






目とか鼻とか口とか、髪の感じも似てる。

口が開いて間抜け面なのはおいとくとして、





「あの時ふたりでマキちゃんのこと取り合ったよね〜」


「懐かしいな〜、あれ結局どうなったんだっけ？」


「急に転校しちゃったから
結局どっちも振られたことになるのかな」


「そうだっけ？」





もはや記憶も曖昧なくらい忘れてたけど
無意識に似てる子に声掛けちゃってるし
しかも無意識にまた藤ヶ谷の前にまで晒しちゃってるし。





「また取り合うことにならなきゃいいけど」






そう笑った藤ヶ谷だったけど
スヤスヤ呑気に眠ってる彼女を見て
嫌な予感がこの時頭をよぎってた。

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