ころころ愛ごころ

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「で？なんで俺ん家に？」


「だって本当に無理なんですって……」





朝渡されたままだった太輔さんの部屋の合鍵を手に
そのまま北山さんのお部屋へと直行した。





「だからって俺だって男だっつーのに」


「はっ、そうか！」


「……不感症な上に鈍感かい」


「そんな何回も不感症不感症、って言わないでくださいよっ」


「事実じゃん」





ぐさっ。

事実だけども……。

ほぼ初対面なのにあまりにもグサグサと痛いとこを突いてくるから
まだリビングに入った場所だったところでカバン片手に肩を落とした。






「だって、私だってどうしたらいいか分からないんですもん…」






傷付きたくないし、失望もさせたくない。

だけど……、






「………分かったよ、一緒に飲めばいんだろ？」






誰かに愛されたいし、一人にはなりたくない。





「いいんですか？」


「んな落ち込まれたらこっちだって断りずれぇわ」


「ありがたい……優しい……」






きっとこの人はなんだかんだいって優しい。

昨日も助けてくれたし
今日だって本気で嫌だったらきっと、部屋にすら入れてくれなかったと思うもん。






「じゃ、とりあえず藤ヶ谷に連絡入れとくから
酒とかつまみとかどうすっかな」


「はいっ、私が買ってきます」


「いいよ、もう遅いし危ないから一緒行く」






携帯を手に多分太輔さんに連絡を入れてくれながら
一度は置いた鍵と財布をまたポケットに突っ込んで部屋を出た。





「あの、北山さんっ」


「名前で呼んでいいよ、俺宏光っていうから」





部屋を出るとそう言われて
ひろみつ……さん、って小さく言うと
んはは、って笑われて。





「宏光さんはおかしいだろ」


「ですよね、私も今自分で言ってて違和感が」


「ひろ、とかみつ、とかよく呼ばれてるよ」


「じゃあ……、ミツにしますね」


「ん、」






太輔さんと、ミツ。

そもそも男のことで悩んでる私がなんでこの二人と関わることになったのかは疑問だけど
生まれ変わりたい、その一心だったのは事実。

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