HONEY LOVE ４

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それからというもの
北山さんは一人で店に来てくれることも増えて
前よりお店によく顔を出してくれるようになった。

っていっても、週一くらいなんだけど
私にとってそれはとてつもなく幸せな時間だった。








「北山さん！
今日の日替わりイチオシなんだと思います？」


「えー？なんだろ、刺身？」


「ぶっぶー」


「うわ、ムカつくその顔」


「へっへっへ、実は今日は生姜焼きなんです」


「おーまじ？」







お肉好きだし、ガッツリ男子系が好きな北山さんだから
絶対絶対、生姜焼きが好きだと思ってた。

案の定目を輝かせた北山さんに
待っててくださいね、ってお決まりのビールと共にご飯と一緒にテーブルに並べた。









「うっわ、うまそ〜」


「でしょでしょ、食べてくださいっ」







こんなにも食べて欲しいのには訳がある。

だってこれは……、







「んーーーーまいっ！！」


「ほんとですかー？！」







目を瞑って美味しそうに食べる姿。
その姿を見てガッツポーズをする私を不思議そうに見上げた。







「なんでAちゃんがそんな嬉しそうにすんの？」


「ふふ、実はですねー
これ私が作ったんです！」


「えー、うっそ」








店長に頼んで今日だけ任せてもらった日替わりメニュー。
少し手伝ってもらったものの
北山さんの飛びっきりの笑顔を引き出せた。








「おいしいですよね？」


「んーそう言われてみれば味濃いかも？」


「ちょっと！」


「んは、うそうそ、んまいよ。
いい嫁さんになれると思う」


「い、いい嫁さん………？」








まさかの発言に目を丸くしてると
また一口生姜焼きを口にした。









「照れてる照れてる」


「なっ、だっ、北山さんが変なこと言うからっ！///」


「誰も"俺の嫁さん"とは言ってないじゃん？」


「……………」


「ふはは、おかわりちょーだい」








こんな感じで、きっと北山さんは私の気持ちに気付いてる。
けど、ずーっとこんな感じ。
確信には触れないし、私も好きとは言ってないし
近付いてるようで近付いてない距離感。

それでも踏み出す勇気もない私には
この状況で幸せを感じるので精一杯だった。

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