HONEY LOVE ４

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「…………平気？じゃねぇよな」






静かになった密室空間。

支えてくれながら背中を撫でてくれてる彼。

トイレの外からは、店長のありがとうございましたって声が聞こえてくるから
あの男たちが帰ったんだなって安堵して思わず涙腺まで緩みそうになった。









「大丈夫です……ごめんなさい、迷惑かけちゃって……」


「何かされた？」


「ちょっと触られただけで………、
酔っ払いの相手なんて慣れてるはずなのに……、ちょっと油断しちゃいました…」








へへ、って無理やり笑ってみせると
小さくため息が聞こえて
見上げてみると少し怒ったような表情をした北山さん。

とりあえず出ようか、って支えながらその場をあとにして
カウンター席へと座らせてくれた。

そのまま私から離れるから
一気に温もりが離れてしまって凄く寂しく感じる。








「ごめん薮、先帰っててくんない？」


「え？どうした？」


「ちょっと用事出来たから、ごめん。
会計も払っとくわ」


「ん、分かった」







用事ってなんだろう…と思いながらも
そんなやり取りをぼーっと座りながら聞いていた。

ふと下に目線をやると、膝の上に置いてる自分の手がすごく震えてて
自分で思ってるよりも相当怖かったんだなって実感してしまい
拳をギュッと握りしめていた。









「あ、ありがとうございましたっ」









店を出ようとする薮さんを見送ろうと立とうとすると
いいから座っとけ、って肩を押されてまた椅子の上。

そこから店長にもさっきのことを話に行ってくれたらしく
今日は閉店作業はいいから帰りなさい、って背中を押されて。








「じゃあ俺送ってくから、着替えてきて」


「え？」


「そんな状態で一人で帰せないでしょ」








北山さんの視線の先は私の震えてる手で
ハッとして、その手を自分で強く握りしめてしまった。

そんな私の背中をポンッと押して、







「着替えも手伝うか？」







って、優しく笑いながら和ませてくれた。








「はい、手伝ってください……」


「いやいやいや、冗談だから」







途端に焦り出す北山さんに心が温かくなる。







「ふふ、ありがとうございます。
着替えてきますね」









凄く怖かったはずなのに
北山さんがいてくれて、触れてくれて
もうきっと私はこの時、自分の気持ちの限界を超えてたのかもしれない。

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