キラハグ ２

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「あ、ていうかそういえば
噂で聞いたけど、北山の子供の子守りしてるんでしょ？」


「あ、はい、そうなんです」


「それだとなかなかご飯行く時間も取れないか〜」








相変わらずモグモグしながら
チラッ、と周りを見ると
さっきまでひろがいた場所には後輩くんしかいなくなってた。








「大変じゃない？子供の世話って」


「うーん、大変ですけど可愛くて楽しいです」


「へぇ〜、子供好きなんだ？」


「好き…、なんですかね。
妹とかいたんで、小さい子のお世話をするのは好きかもです」


「そっか。
じゃあ俺と子供作ろっか？」







「へ？」









表情を変えずに
このお肉食べよっか？っていうテンションで
とんでもないことを言い放つから
私は目を丸くして、動揺からカラーンとフォークを床に落としてしまった。









「自分の子ならもっと可愛いんじゃない？」


「い、いやっ、えっ？」


「俺もね、子供好きなの。
昔保育士さんになりたかったくらい」








それはそれは意外すぎる。

こんな保育士いたら、お母さん達が大変なことになるんじゃないか。









「だから、一緒に作らない？」









テーブルに置いてた手を優しく包まれて
急に色気を放出させながら私を見つめてきた。









「あっ、はい………、

「何してんだよ」









甘すぎるフェロモンで頭が麻痺したみたいに勝手に頷いてしまってた私。

でもその瞬間に、頭上から低い声が聞こえた。









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「あ、ひろ…………、じゃないや、先生」








見上げると明らかに不機嫌顔のひろがいて
一気に脳内麻痺状態から、現実へと戻らせる。









「北山、久しぶり」


「久しぶりじゃねぇし、この前出版社で会ったし」


「そうだっけ？」









こうやって二人が直接話してるとこ
この業界に入ってから初めて見たかもしれない。

同期でライバルだって聞いてるけど
陽之介先生は余裕綽々で、北山先生が勝手にシャーッ！て噛み付いてる感。

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