キラハグ ２

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「飲み物なににする？
ココアもあるしお茶もあるし、なんか色んな種類の紅茶もあるよ」


「あ、お茶で大丈夫です」


「そう？あ、その辺適当に座っといて」








その辺、って言われても
凄く綺麗ないい匂いのするお部屋で
どこにお尻をつけてもいいかが分からない。

とりあえずソファ下のカーペットの上に正座で腰掛けたけど。









「ごめんなさい、先生寝てないんですよね？
それなのにお邪魔しちゃって……」


「いや、徹夜なんて慣れてるし平気平気」


「でも、私のことは気になさらず仮眠とってくださいね」









はーい、って少し陽気な返事をする先生は
やっぱりちょっと酔ってるのかもしれない。

そのまま私の分と自分の分のお茶を持ってきてくれて
なぜか乾杯をしてから二人でお茶を啜った。









「んーと、とりあえず何があったかは聞いてもいい？」









向かい側ではなく隣に腰掛けてる先生が
この距離の近さの割には、遠慮がちに聞いてくるから
私は正座から足を抱えて座り直した。









「家出……、というか
逃げてきてしまった、というか……」


「北山んとこを？」


「はい……。」








そこからはとにかく優しく話を聞いてくれる先生に
気がつけばほとんど全て話してしまっていた。


元奥さんの咲彩さんが来たこと。

だからこそ私は身を引くしかなかったこと。









「でもさ、北山はAちゃんに
待っててって言ったんでしょ？」


「そうは言われたけど
私が待ってたらひろはきっと正常な判断が出来なくなると思ったんです……。
話し合ってやり直したいと思っても
私が待ってると思ったら、私が邪魔になるでしょ？」


「うーん、でも………、」


「あるべき正しい家族の形に戻るのが一番だと思うから……。」









前にひろの部屋で見かけた、まだ出していない離婚届。

あの存在が、ひろのまだ咲彩さんに残ってる気持ちな気がして。

そう考えると私という存在が邪魔なだけに感じて
もうあの場にいることは出来なかった。









「………よし。
そこまで意志が固いなら、俺ん家で一緒に暮らさない？」


「え？」








ひろの家から、太輔さんのお家へ。




私って相当、流れやすいのかもしれない。

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