キラハグ ２

７１ 北山side ページ22

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「ただいまぁ〜…、」









こそっと玄関から入り込んで
Aにバレないうちに買ってきたケーキを寝室へと運び込んだ。









「おかえりなさい」








無事に隠してからリビングに行くと
もう既にいい匂いな空間と、キッチンに立つAの姿。
そしてブランケットに包まれてスヤスヤ寝てるヒカリがいた。









「ただいま」


「早かったね？
今日締切日だしもっと遅くなるものだと思ってた」


「まぁな、俺にかかればこんなもんよ」


「だったらいつも本気出してほしいもんだよね〜」






芦田さんと同じような事を言われて
はいはいはい、って流しながらも
いい匂いにつられるようにキッチンへと。







「うまそ〜」


「今日はね、ちょっと高いお肉にしてみたよ」


「いいねいいね、ちょうどAの誕じょ………、」


「ん？」







ここまで言ってAを見るとキョトンとしてる。
こいつまさか自分の誕生日忘れてるわけじゃねぇよな？

つうか…………、









「なんか目腫れてね？」








心なしか赤く充血もしてる気がする。

じっ……、と思わず凝視しちゃってると
見ないでよっ！てぷいっとそっぽをむかれた。









「は？なんでだよ」


「ちょ、ちょっとお昼寝しすぎて……」


「ははーん、うつ伏せで昼寝したな？」


「そう…かも……」


「分かる分かる、俺もうつ伏せで寝ると目変になる」


「ね、うつ伏せはだめだね」








すき焼き鍋の中に次々野菜をぶっ込んでくA。
なんとなくいつもと様子が違う気がしたけど
早くすき焼きを食べたい気持ちと、早く祝ってあげたい気持ち。

それらが先行して、気にすることなくその場を離れ洗面所へと手を洗いに行った。







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「よ〜し、出来たよ〜っ」







起きたヒカリと戯れていると
熱いから気をつけてね、ってテーブルに置かれたすき焼き鍋。







「やべぇ、匂いだけで白飯いけそうだな」


「じゃあひろは白飯だけね」


「おいおい」







卵もいっぱいあるよ〜って生卵も揃って
三人でいつものように食卓に並んだ。

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