検索窓
今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:249,996 hit

87 ページ38

.


「Aは色々相手のこととか、世間体を気にしすぎなのよ。
好きな人、ずっと一緒にいたい人なんて
自分の気持ちに正直になればすぐ分かるわ」


「自分の気持ちに正直に……」


「そう、考えるんじゃない。感じるのよ」


「……、」







どこかで聞いたこのありそうな名言を口にすると
ふふん、と得意げにビールをまた口にする。






.







「……あのね裕太、北海道に行くんだって」


「え?」


「転勤になったらしくて、二ヶ月後にはいなくなるって」


「えー!そうなの?」


「私さ、裕太と離れたことなんてなかったでしょ?
だから何かちょっとどうしようかと思って…」







裕太と離れる、なんて考えたことなかった。

だからこそ離れた時のことを
想像したこともないし、想像出来ない。







「そっかぁ、裕ちゃん寂しいだろうね。
ずっとAのこと好きだったんだから」


「うん………、って、え?!」








なんで裕太が私のことを好きってことを知ってるのか
思わず驚いてビール缶を落っことしそうになった。








「なんでっ?!」


「なんでって、裕ちゃんの気持ちに気付いてないのなんてあんたくらいよ」


「う、うそ……、」


「そっか、ついに裕ちゃんもAに気持ち伝えたか」








嬉しそうに、だけどどこか困ってるように笑うお母さんは
きっと私のこの気持ちに気付いてる。

どうしたらいいのか分からない、この気持ち。









「間違っても、同情とかそういう気持ちで裕ちゃんの気持ちに答えるんじゃないわよ」









……そんなこと言われたって
私が裕太の気持ちを拒否ってしまったら……、



考えただけでも胸が張り裂けそうになる。






.








「よし、そろそろ寝ようか」


「……うん、私お風呂入ってから寝るから」


「そうよね、じゃあ先に寝るわね」


「おやすみなさい」








こうして結局なにも解決はしなかったけど
お母さんの言葉、

"考えるんじゃなくて、感じる"ってこと。



それだけは忘れないでおこう、と
少しだけ前向きに考えることが出来た。

88→←86



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (395 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2154人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

はちみつみゆ(プロフ) - このみさん» ごめんなさい、裕太を傷付けてしまって…。裕太も幸せになれるようになるべく書いていきますねぇ(;_;) (2021年5月29日 19時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
このみ - 裕太 (2021年5月29日 10時) (レス) id: 25b3f023e7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - ちょうすけさん» ですよね、ごめんなさい(;_;)笑 私ですらも内容全く忘れてて読み直しました!笑 あんまり自分の話を読み返すことってないんですけど、すっかり昔のことすぎて( ̄▽ ̄;)あと少しで移行になってしまうのでまたよろしかったら遊びに来てください♪ (2021年5月28日 22時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
ちょうすけ(プロフ) - お話読み返してました(笑) 前の更新からこんなに経ってたとは。。続き楽しみにしてます! (2021年5月27日 22時) (レス) id: daa492e006 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - めめめさん» せっかく見つけてくださったのにお返事めちゃくちゃ遅れてしまってごめんなさい!泣 もううさすがにお話忘れちゃいましたよね( ̄▽ ̄;)出来れば完結に向けてまた更新していこうと思ってるのでまた遊びに来て下されば嬉しいです♪ (2021年5月27日 21時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:はちみつみゆ | 作成日時:2019年5月7日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。