恋愛注意報 ２

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「具合悪いの？って顔覗き込まれて
何の躊躇もなくおでこに手当てられてさ、」


「そ、それは……、」





いま思い出しても
初対面の男の子になんて図々しい…。






「そんで、ちょっと待っててってその場で待たされて
店のドリンク持ってきてくれた。」


「うん……、」


「店のメニューかなって思ってたんだけど
働き始めたらそんなんなかったし、Aちゃんが作ってくれたんだなーって」


「はちみつレモン……、だよね？」


「そう！覚えてんじゃーん」








あの日、たまたま面接の部屋のドアの前で北山くんを見かけたんだ。

少し息が荒くて緊張してるのかな、って思ったけど
咳き込んでたし、その顔つきから具合が悪いんじゃないかと気になってたっけ。







「そういえば思い出した……。
あの時、この子すごいなぁって思ったんだよね私」


「え？」


「ドアの前で息を整えて部屋に入る瞬間、一気に北山くんの雰囲気が変わったの見てさ
この子は人前で弱いとこを見せないんだろうな〜って」


「……そんなん見られてたの？」


「うん。
見た目がチャラかったから、そのギャップに驚いたの覚えてる」







見た目がチャラいは余計だろ、って
少し照れたように笑った。








「でも俺もあの時Aちゃんに驚いたんだよ」


「え？私？」


「あの日面接の前に大学とかも行ってたけど
誰一人、俺が具合悪いのなんて気付かなかった。
それなのに初めて会ったAちゃんが気付くんだもん」


「そうだったんだ……」


「この人すげぇなぁって思ったんだけど
一緒に働いてるうちに、周りは見えてるくせに自分のことは全然見えてないなって思った」


「えっ……？」








クスクス笑うようにそう言うと
そのままペットボトルごと私の手に触れてくる。








「そんでいつの間にか
自分よりも周りを気にするAちゃんを
俺が幸せにしてあげたいって思うようになってた。」


「・・・」








触れられてる熱で、ペットボトルの水が沸騰しちゃいそう。

こんな風に思われてて、しかもこんなこと言われ慣れてないもんだから
返答に困る。







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「………なんか反応しろよ」


「えっ、あ………、うん………、」








北山くんも自分で言っといて恥ずかしかったのか
私とは反対に顔を背けた。

触れてる手はそのままに。

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