恋愛注意報

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「みつみつだー」


「あ？」


「みつみつ、なにしてるの？」


「いや、つか、みつみつってなんだ」


「お客さん、呼んでるじゃない北山くんのこと」







みつみつー、とか
みつー、とか、ひろー、とか
とてもバリエーション豊かに呼ばれてる。
可愛い可愛い女の子達に。








「まぁそうだけど…、なにしてんすか？」


「なに……、してるでしょうか？」


「いや、俺が聞いてんだけど」


「ふふふふふ」


「こわっ！」







不意に現れた北山く……、みつみつは
怪訝な顔のまま私の隣のブランコに腰掛けた。

ギーっ…、て鳴ってた少し錆びてる音が
二つに重なる。








「なんかいつもと様子違うと思ったら
酒飲んでるんすね」


「別にいつもと一緒ですけど〜」


「いつもだったら、
みつみつーなんてぜって呼ばねぇし」


「あは、確かに〜」








みつみつ、どころか
Aさんって、さん付けで呼びなさいって毎日のように注意してるのに。

なんだろな、
アルコールのせいなのか、こうして夜に仕事意外で北山くんと会うのが初めてのせいなのか。








「俺にもちょーだい」


「えっ？」






地面に置いてたコンビニ袋からビールを取り出して
私が返事をする前にもうプシュッていい音を響かせて
ぐびぐびと喉を鳴らした。








「あー、うんまっ」


「あーあ、子供に飲ませるお酒なんてないのに」


「子供じゃねぇから、
もうはたち過ぎてっから」


「子供じゃん」


「Aに言われたくねぇし」








・・・A？







「ちょっと、何呼び捨ててにしてるのよぉ！」


「みつみつとか呼ぶからさ、仕返し」








ひひ、って笑う北山くんは
やっぱり子供にしか見えないくらい可愛いんだけども。









「ていうか今日誕生日っしょ？
一緒に過ごす男いるとか言ってた割に、ひとりで公園で酒飲んでるとかなにごと」


「誕生日なんてさ、この歳になると
ひとつ歳をとるだけの恐怖のイベントだから」


「へぇ〜、男にドタキャンされたか」


「違うしっ」


「じゃあそもそも一緒に過ごす奴なんていなかった？」


「違うっ」







まさかの既婚者だった、というか
そもそも先輩だってそんなつもりで誘ったわけじゃないんだろうけども…。

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