恋愛注意報

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「Aさんっ」






翌日、支度を終えて部屋を出ると
ちょうど隣の部屋から出てきた有紗ちゃんに声をかけられた。

北山くん狙いの(ここ大事)有紗ちゃん。








「おはよう〜、どうしたの？」


「おはようございます、
あの、昨日の夜北山さんと一緒にいたんですか？」


「……え？」







上目遣いで恐る恐る聞いてくる有紗ちゃんに
思わず目を逸らした。







「食事の時、ちょっと出てくるって出ていってから
戻ってこなかったので…。
Aさんもあれからずっと戻ってこなかったし、探してたんですけど…」


「あー…、うん、ちょっとお酒飲みすぎちゃって！
私は部屋にいたけど、北山くんも早めに寝ちゃったんじゃないかな？」


「そう…なんですか？」


「うん、眠いって言ってたしっ」


「なんだか私と話してても
Aさんのこと気にしてたから」


「え？」


「でも一緒にいたわけじゃないなら良かったですっ。
ごめんなさい、朝から引き止めてしまって」


「い、いえいえ…、」







一ミリも疑ってないかのような安心しきった顔に
嘘をついた罪悪感がひしひしと…。








「じゃあ今日も一日頑張りましょうね！」


「うんっ、がんばろうっ！」







いや、でも別に何かやましいことがあったわけじゃないしね。

ただちょっと同じ店舗の仲間としてね、
どこ行ったか心配して抜け出してきてくれた、ってだけだよね…、うん。






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「おはよー」


「おはよ、いっぱい寝れた？」






ホテルのロビーの集合場所に行くと
北山くんと二階堂くんが話をしながら私を待ってくれていた。






「んー、まぁぼちぼち」


「どこがぼちぼちだよ、爆睡だったじゃんミツ」


「あれでも俺は寝足りねぇんだよっ」


「すげぇな、俺ベット変わると寝れない」


「神経質かよ」






この二人の会話を聞いてると
高校生男子のやり取りみたいで、余計に若さを実感させられちゃうな。







「Aちゃんは？寝れた？」


「うん、私もまぁまぁかな。
でも朝に寒くて早く目が覚めちゃって」


「あ、わかる。俺も寒かったわ朝」


「ね〜。やっぱ朝は冷え込むよね〜」






二階堂くんとの会話と比べて
私との会話のこの年寄り感。

こういうとこだよねぇ…、年を気にしちゃうのって。

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