恋愛注意報

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「いいなぁ、青春。」


「え？」


「好きな人がいるとか、青春〜って感じで」


「……いや、今の雰囲気で気付けよっ」


「え？」







今の雰囲気？







「……あ、よく店に来る女の子ってこと？」


「は？」


「いやー私、最近若い子がみんな同じ顔に見えちゃって
北山くんの友達とかきっと見分けつかないかもしれない」


「・・・」


「てかやばっ、もうすぐ着くから降りる準備しよっ。
せっかくお菓子いっぱい持ってきたのに食べなかったな〜」








結局北山くんと食べた駄菓子のドーナツにしか手をつけてないし
後で食べてね、ってチョコを適当に手掴みして北山くんの上着のポケットに入れてあげた。








「あーあ、なんかAちゃんって感じだわ」


「ん？」


「気長に行くか〜」






研修は長いしなー、って座席の上から荷物を取ってくれて
窓の外には、もう見えてる宿泊先のホテル。








「楽しもうな、研修」


「うん、
……ていうか、楽しんじゃダメでしょ仕事だよ」


「ふはは、いいじゃん」








と、いいつつ私もいつもよりも少しだけワクワクしちゃってる研修。

北山くんがいるからなのか
雲ひとつない晴れ空だからなのか。








.








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「ね、夜にさちょっとこの辺散歩しない？」


「いえ…、ごめんなさい、ちょっと予定が…」


「えー？こんな研修中に予定なんてあるー？」


「色々明日の準備とか…、」


「大丈夫だって、そんな難しい研修じゃないんだしさっ、ねっ！」









バスを降りると、いかにも若者って雰囲気の男の子が
多分バスの中で仲良く(？)なったのであろう、可愛らしい女の子にしつこく声をかけていた。








「なにあれ、研修をなんだと思ってんだろ」


「お菓子いっぱい持ってきて
遠足気分だったAちゃんに言われたくないだろうけどな」


「……確かに、」








ちょっとお菓子とか広げて浮かれてただけに
何も言えずに黙ると、そのまま私の横を通り過ぎて、








「やめたげなよ、困ってんじゃん」








って、その男の子の肩を叩いて後ろから声をかけた。

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