恋愛注意報

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「何聞きたい？」


「ん〜……、」






携帯の音楽のプレイリストを見せてくれるけど
いまいち分からない、ババア感満載の私。







「何かいまいち分かんないから
北山くんのオススメ聞かせて？」


「俺のオススメでいいの？」







少し嬉しそうにどれにしよっかな、ってスクロールしながら選んでくれて
しばらくして流れてきた音楽は
激しい曲じゃなく、優しいメロディの音楽だった。








「北山くんってこういうの好きなんだね」


「どう？好みじゃない？」


「んーん、ババアにも優しい音楽で好き」


「この音楽が好きってことはババアじゃねぇよ」







適度に揺れるバスの振動。

周りから聞こえる控えめな話し声。

ひとつのイヤホンで繋がれた一定の距離感で
目を閉じながら聞く、流れてくる音楽。








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窓から差し込むお日様でぽかぽかしてる車内



眠くなってきた…。







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「北山くんって女慣れしてるよねぇ…」


「え？してねぇよ全然」


「してるよぉ、ババァついてけない…」







北山くんの声もバスの振動も、音楽も
全てが心地よくて本気でウトウトしてきた。

結構寝たはずなんだけどなぁ……。







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「……俺も寝よーっと、」









北山くんのそんな声が聞こえた気がしたと同時に
肩に重みと体温を感じて、

その体温が気持ちよくて、私もそこで意識を手放した。









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「ん………、」







ふと目を覚ますと、バスはまだ走っていて
時計を見ると到着予定時刻まであと15分ほどだった。









「うわ、寝ちゃってた……。」







背もたれから少し起き上がろうと体を動かすと
隣に感じた違和感。

そういえば……、と隣に目をやれば
気持ちよさそうにスヤスヤしてる北山くんがいた。








「………かわいい、」









思わずポロリと出てしまった心の声。


少し半開きになってるぽてってしてる唇と
零れ落ちそうなほっぺた。

無防備するぎるその寝顔は
子どもみたいに可愛くて、ババァの母性本能が爆発しそうだった。

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