恋愛注意報

１２ 玉森side ページ12

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「A〜、デミグラススパ〜」


「あ、いらっしゃい裕太」







お昼を少し過ぎた頃
会社から近いAのカフェに
同期で一応仲良しな宮田とやってきた。








「いや〜、疲れた。
忙しくて全然休憩すら入れねんだもん」







案内されたいつもの席に座ると
隣に座った宮田が
俺はオムライスお願いしまーす、って
俺とは真逆にニコニコと丁寧に注文をした。








「最近忙しそうだね」


「うん、かなり忙しい」


「お疲れ様、
今ピークもだいぶ過ぎたから料理も早くできると思うから」


「あーい」









パタパタとカウンターに戻ってくAの背中を見ながら
おっきいため息が漏れて、テーブルにぐでーんと項垂れた。








「どうしたの、玉」


「べつに〜」


「Aさんに聞かないの？
昨日の誕生日どうだったかって」


「ばっか、聞けねぇよ」


「気になるくせに」


「うるせ〜」







気になる…。

うん、そりゃ気になるよ。

あの藤ヶ谷先輩だぞ？
高校時代、激モテでAとなぜか仲良くて。

今更現れやがって…。
むかむかむか。







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「あ、玉ちゃんと宮っちだ〜」


「さっちゃん、おつ〜」


「にゃ〜す」








いつもこの店に来てるから
仲良くなったさっちゃん。

この子はなぜか鋭くて
俺のAへの気持ちが
初めて店に来たその日に一瞬でバレた。







「ねぇ玉ちゃん、聞いた？」







キョロキョロとAがいないのを確認してから
ずいっ、とテーブルに手をついて詰め寄ってきた。








「なに？」


「Aの誕生日のことっ！」


「聞いてない、てか別に大丈夫っしょ、

「ばっっっか！！！！」







シャー！って今にも噛みつかれそうに言葉を遮られて
思わず椅子の背もたれギリギリまで引いた。








「藤ヶ谷先輩とやらも怪しいし、
北山くんまでちょっと本気出してきたよ」


「え？あのチビ？」


「チビでもやる時はやるもん、あいつ。
なんとも言えない女を落とすテクあるし」


「え〜そんなのない、

「ばっっっか！！！！」







本日二度目のバカ扱い。








「誰よりも長くAのそばにいたくせに
今きっと玉ちゃんは、誰よりもAから遠いからね」








びしっ、と指をさされて

”男を見せなさいよ”って。






え〜……、








「……宮田、俺おとこだよな？」


「え？うん、そうだと思うけど」








男を見せるって、なに？




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