恋愛注意報

１ ページ1

.





二十代前半の時に
友達とノリで行った、当たると有名な占い屋さん。






”二十代最後の年に波乱が訪れます。”






それを聞いて震え上がった若き自分。


気付けば私も三十手前。


明日で私は、
波乱の29歳を迎えます。









───男性経験がろくにないままに。









.









.









「Aちゃん、明日で29歳っすね」


「こら、AちゃんじゃなくてAさんでしょっ！
Aさ、ん、！」








私が働いてるカフェの大学生アルバイト
北山くん。

明るい髪色に、遊ばせてる毛先が
なんとも今どきの大学生っぽい。








「つかさ、明日なにすんの？
彼氏と祝んの？」


「……彼氏なんていないこと知ってるよね？」


「あっはは、そうだっけ」








リスみたいに前歯を覗かせて笑ってる彼に
お尻をペシっと叩くと、
いてっ、て大袈裟にお尻を抑えて見せた。








「セクハラだ」


「なによ、お尻くらいどうってことないでしょ」


「じゃあAちゃんのも触らしてよ」


「はぁ？」


「ケツくらいどうってことないんでしょ？」


「えっ、ぎゃっ、ちょっとっ！///」


「うわ、照れてる〜かわいい〜」


「や、やめてよ、ばかっ！！///」









超絶チャラい彼だけど
通ってる大学はなかなかの偏差値な大学で
頭の回転も早いし、なんでもソツなくこなすのがまたズルい。








「明日さ〜、
予定ないんだったら一緒に過ごしてやろっか？」


「はい？」


「寂しく20代最後の誕生日過ごすの嫌っしょ？」


「か、勝手に寂しい誕生日って決めつけないでよっ」


「は？」


「いるかもしれないでしょ、一緒に過ごす相手」


「なにそれ、聞いてないんだけど。
そんな男いんの？」


「え……、いや……、」






い、いないけども…。

リア充爆モテみたいな北山くんに
寂しい女だって思われないための見栄というか。
(バレバレだろうけども)








「と、とにかく！大丈夫だから！
北山くんはピチピチギャルとでも遊んでて！」









はぁ？って顔した北山くんを
ホールで呼んでたお客さんの元へと無理矢理向かわせた。

とにもかくにも
大学生を相手にしてる暇はない。

今日で20代ラストなんだから…！！！



.

２→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す