欲しい愛と、知らない恋 ３

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「ありがとう、ごちそうさまっ」


「おう、それより大丈夫か？
ちょっとふらついてんぞ？」


「平気平気っ！
外が気持ちよくてすぐ冷めそうっ」


「どんだけ酔い冷めやすいんだよ」








いつものようにお金を出してくれて
いつものようにお礼を言うと、二人で帰り道を歩き始める。


少し寒いくらいの外の風が
お酒で火照った身体を冷やしてくれて気持ちいい。

さっきひろが触れた指先の熱も冷えてくれたらいいのに
そこだけは熱いまま、感覚が消えてくれない…。









「そういえば私ね、ひろのペットになってから
すごいお金たまったんだ〜」


「え？まじで？」


「だって私がお金出すことないんだもん。
生活費とか、なんなら欲しい服とかも買ってくれてたじゃない？」


「そうだっけ〜？」


「ほんと、甘やかされまくって
ひろには感謝しかないよ〜」







そんなことないだろ、って本人はとぼけてるけど
本当にひろにはお世話になった。

生活費から、私の私物から全て養ってくれたし
家では甘えさせてもらって。

今思い返してみると
夢だったんじゃないか、ってくらい
幸せすぎる毎日だったな…。









「でも俺も、Aには感謝しかないぞ？」


「え？私？」


「うん、ペットとしてめちゃくちゃいい仕事してくれてたじゃん」








街灯が照らす暗い道を二人
時々通り過ぎる車の音。

隣を見れば、柔らかく笑うひろと目が合った。






・・あと何歩あるいたら、お別れなんだろう。

そう考えるだけで
自然と一歩を出すその足が、鉛のように重く感じた。







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「初めてひろと出会ったのも
あの店からの帰り道だったなぁ…」





そうポツリと呟くと
少し遅くなった私の歩幅に合わせてくれるひろ。





「へぇ、そうだったんだ？」


「うん…。
元彼に振られて飲み潰れて歩いてたら
ビンタされてるひろに出会った」


「あはは、懐かしいなそれ」


「女の子にビンタされてる人
私初めて見たからかなり衝撃だったよ？」


「だってまぁ、あれはしょうがねぇじゃん？」


「……しょうがなくはないと思うけど、」


「まぁまぁまぁ、そこはぶり返すな」


「ふふ、はーい」




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