欲しい愛と、知らない恋 ３

１３５ 北山side ページ37

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「………ん、」







少しの肌寒さで目を覚ますと
目の前には少し雲に隠れた太陽と、真っ青な空が広がっていた。








「・・・」









あれ？

ここどこだ……っけ、……、









「やっべ…っ、！」







すっかり爆睡してたことに気付いて慌てて体を起こすと
隣ではAがスースー…、と気持ちよさそうに寝息をたてていた。









「・・・」









俺が眠りに落ちる瞬間は確か
Aはまだ起きてたよな？

手元の携帯を確認すると、時間は15時で
結構眠ってたことに気付いてAを起こそうとしたけど、









「ん？」








涙がつたった跡のようなものが
頬にかかる髪の毛の隙間から見えて
横向きに寝ていたその顔を覗くように近付くと







.









「…………、？」









パチッ、と目が開いて
至近距離でばっちり視線が重なった。









「っきゃあぁぁっ、！」


「うわっ、ご、ごめんっ！！」








寝起きで急なことに驚いたのか
飛び起きたAに、俺も咄嗟に謝っちゃって。



五秒ほど二人で停止すると状況を理解し始めたのか
あっ、て顔をしてAも携帯を手にしてまた俺に視線を戻す。









「ごめんっ、私まで寝てたっ！？」


「あぁ、いいよいいよ。
俺も完全に爆睡だったし」


「寝るつもりなかったのに
ひろの寝顔見てたらつい寝ちゃってた…」


「はは、もうクセみたいなもんだよな。
寄り添ってると眠くなる感………じ…、」







自分で言ったくせに、しまったと思った時にはもう遅い。
Aも俺のその言葉に気まずい顔をした。

寄り添ってると眠くなっちゃうクセ、って
そんなクセ身につけたってもう一緒に眠ることなんてないのに。









「……あ、もう行こっか！
トイレットペーパーとか細々したもの買いたいから
荷物持ちで手伝って！」


「お、おうっ、…………って、え、荷物持ち？！」


「ふふ、やった〜♪」







いっぱいこき使お〜、って元気に立ち上がって
お尻についてた草をはらい、俺を見下ろす笑顔はいつものAで。









「ほらっ、置いてくよ〜っ！」


「……へいへい、行きますか」









涙の跡なんて気のせいだったかな、って
楽しそうに髪の毛を揺らしながら前を歩くAを追いかけた。

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