欲しい愛と、知らない恋 ３

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「重い……、」






そんなに大量に買い物したわけではないけど
牛乳が入ってるから重いのかなー、なんて
二人から逃げるように背を向けた帰り道。







もうすぐマンションに着くというところで
犬を散歩している若いカップルとすれ違った。

嬉しそうに尻尾を振ってるワンコと
そのリードを引いてるお姉さん。


このワンコだって
言葉に出来ないだけで、このご主人様に恋をしてるのかもしれない。

好きなのに、
自分だけを見てほしい愛が生まれてるのに
他の人をみてしまうご主人様。

自分が一番にはなれないのに
そばにいるしか出来ない、ペット。

そんなの辛さしかないんじゃないか…、って
見知らぬワンコにまで感情移入しまって泣きそうになっちゃってる私
相当やばいな。

メンタルやられすぎてる。









はぁ……、とおっきいため息をつくと白い息へとかわる。

荷物を肩にかけ直し、ご主人様のいない部屋へと急いだ。









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＊＊＊＊＊



「あれ？玉ちゃん？」






マンションのエントランスに着くと
玉ちゃんがお決まりの場所で、壁によりかかり立っていた。







「遅いよ、もう〜」


「え？なに？なんで？」






”遅い”ってどういうこと？
そもそも、待っててとも言ってないし
連絡とかもしてないんだけど？






「ミツからさっき連絡きてさ
Aが一人で帰ったからちょっとエントランスで待っててくんない？って」


「……え？」


「ほんっとにさ、ミツは毎回俺の事使いすぎだよね！
そんな心配なら自分でそばにいろっつーの」







結構な時間待ってたのか
白い肌を赤く染めながら、ぷんぷんしてる玉ちゃん。

それにキュンとすると同時に
ひろにもキュンとしてしまう厄介な自分。









「……違うの、私が無理矢理帰ってきちゃったから」


「無理矢理？」


「うん……、
彩月さんとひろと三人で一緒にご飯なんて
今の状態じゃ耐えられる気がしなくて…」








”そっか、そういうことか”って頭をポンポンしてくれて
辛かったね、って励ましてくれる気持ちがその手のひらから伝わってくる。

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