欲しい愛と、知らない恋 ３

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「そういや、早速知り合いから良さげなマンションの見取り図とか送られてきたんだけどさ」







今日の晩御飯
水炊き鍋を二人でつつきながらそう言うと
これこれ、って箸を口にくわえたまま立ち上がり
カバンから紙切れを取り出し持ってきた。








「家賃も安いし、セキュリティもいいらしいよ」


「へぇ〜…」


「……一応、見に行ってみる？」


「うん…」








出てく、って決めたものの
こうして目の前に現実を突きつけられると
また結構、心が抉られる。

さっきまでの夕飯ウキウキテンションからどんよりしてしまい
じーっとその紙に目をやった。

そんな空気を察してか
その紙を手にしながら、私を見つめ








「気に入らなかったら、まだ他にもあるから」


「うん、でもせっかく紹介してくれてるし」


「いや、こういうのは焦って決めるもんでもないし」








そんな早く出てくなよ、っていう風に
捉えちゃいそうになってしまうその言葉。

それだけでも少し嬉しかった。







「……じゃあ、今度の休み一緒に見に行ってくれる？」


「おう、いいよ」


「なんか……、ウキウキするよねっ！
部屋とか見に行くの」


「……そう？」


「うん、 新しい生活が始まるって感じで……、」









ウキウキ……、なんてするわけないのに。

あまりにも心にもないことばっかり口にしてるせいで
なにが本音でなにが本心なのかが分かんなくなってきた。








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「……俺は寂しいよ。」



「え……？」



「Aがいなくなるの
すげー寂しい。」









冗談で言ってるとは思えないほどの
真っ直ぐな真剣な顔。



そのあまりにも強い瞳に吸い込まれそうで
気づけば私も、









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「……私だって、寂しいよ……」









零れてしまっていた、本音。


本音と同時に涙まで零れそうになってしまうから
それだけはだめだ、とぐっと唇を噛み締めた。







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「……でも、また会えるよね？」


「え？」


「ペットじゃなくなっても
一緒にご飯行ったりはしようねっ」


「……そうだな。」









もう分かんない。

何をどうするのが正解なのか、

どこまで本音を言ってもいいのか。






ひろの、その苦しそうな表情も。



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