欲しい愛と、知らない恋 ３

１３０ 北山side ページ32

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「……ペン？」






無理矢理に開けさせられた箱の中に入ってた
リボンに巻かれた一本のペン。

それを手にすると
Aが嬉しそうな顔をしながら、







「あのね、ちゃんと見てみてっ」






って、前のめりになって目を輝かせた。


その言葉にペンをよく見てみると
小さく犬のイラストが彫られていた。







「犬だ」


「そうっ！
ペットからのプレゼントだから、ワンコマーク彫ってもらったんだっ！」







すげぇ高級そうなペンに似つかわしくない
可愛らしいそのイラストに、思わず笑ってしまった。







「んはは、なにこれ」


「可愛いでしょ？
お店の人に、ワンコ彫ってくださいって言ったら笑われたんだから」






恥ずかしかったんだよ、ってむくれるAに
そりゃそうだろ、って思ったけど









「すげー嬉しいわ、これ。ありがと」






純粋にすげぇ嬉しくて。

その俺の素直な言葉に驚いたのか
一瞬目をおっきくしてから、照れて自分の服をいじいじし出した。

それがあまりにも可愛くて
また心が癒される。








「ほら、ひろお仕事でよくペン使ってるでしょ？
だからちょっといいペンを、って思って」


「俺よくペンなくすからさ〜
これはなくせねぇな、大事にしないと」


「そうだよ！なくさないようにね！」


「つーかごめん、俺なんも用意してねぇわ」


「え？いいよいいよっ。
ここでひろから貰ったら意味ないじゃん！
今までお世話になったお返しなんだし」







だから気にせず受け取って、って得意げに笑うから
手にしてるペンに視線を落として、そのわんこワークを優しく撫でた。

冷たくて硬いその感触は
同じペットでも、Aとは似ても似つかなくて、









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「………ひろ……？」









気付けばそのペンを手にしたまま
目の前のAを引き寄せて、胸の中に閉じ込めていた。

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