欲しい愛と、知らない恋 ３

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「ただいま〜」








あれから三時間くらいたったかな。

適当にご飯を食べて、お風呂に入って、テレビを見て
いつも二人でいるはずの部屋に
一人でいるとなんだか静かで寂しくて
ベッドで携帯を弄りながらゴロゴロしていると聞こえてきたその声。







慌てて布団をかぶって、息を潜めた。


な、なんとなくね？

寝たフリをして顔を合わせないようにしようかなって。







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トントン…、と足音が近づいてきて

寝室の扉が開く音。








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「A？寝た？」








目をギュッと瞑り
なぜか息まで止めて、








「……寝ちゃったか。」







すぐ近くに感じるその声と同時に
甘い香水のかおりがして、さっきまで彩月さんといたんだって思い知らされた。

ドキドキと寝たフリを続ける私に
そっと触れられたおでこ。

さらり、と前髪を掻き分けられて
優しく起こさないように撫でられて、






「おやすみ」






と、いつもみたいに甘い声で。








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再び扉の音がしたのを確認してから
ゆっくりと目を開けて、暗闇に慣れない視界でその扉を見つめた。









「……おやすみなさい。」








小さくそう呟いて、再び目を瞑った。




──明日はいい日になりますように。









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「え？あそこに決めたの？」






次の日、帰ってきたひろとご飯を食べながら
私の決意を報告した。

いつまでもここにいるわけにもいかないし
出るなら早い方がいい。

長引けば長引くほど
ひろと離れたくなくなっちゃう。








「うん、家賃も安いし綺麗だし」


「…でも、ちょっと駅から遠くね？」


「そんなことないよ、歩いて10分もかからないし」


「もうちょい人通りあった方が、

「大丈夫。もう決めたの」








私の決心を揺らすようなことを言われるのが辛くて
食い気味にそう言うと
”そっか…”って、目を伏せながら頷いてくれた。








「今日電話してみたら
すぐ入居できるみたいだから、少しずつ荷物もまとめるね」


「……おう」


「あと少しだけど……、よろしくお願いします」








あと少し。

出ていくまで、ペットを満喫しよう。

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